※この記事にはネタバレが含まれています。
『プラダを着た悪魔』は、20年近く経った今も語られ続けている作品です。
若い頃に見た時は、ミランダの厳しさやアンディの苦しさが強く印象に残った人も多いでしょう。
しかし、大人になってから見返すと、少し違って見えてきます。
アンディは本当にミランダを否定して去ったのか。
ミランダはただ冷たい上司だったのか。
そして続編『プラダを着た悪魔2』を見ると、二人とも結局“仕事を選んだ人”だったようにも見えてきます。
今回は、『プラダを着た悪魔』が今も刺さる理由と、続編につながるアンディとミランダの関係について考察します。
『プラダを着た悪魔』のあらすじをネタバレありで解説
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『プラダを着た悪魔』1作目では、ジャーナリスト志望のアンディが、一流ファッション誌「ランウェイ」の編集長ミランダのアシスタントとして働き始めます。
アンディはミランダの厳しい要求に応える中で、ファッションも仕事への姿勢も変わっていきます。
しかし、仕事で認められる一方で、恋人や友人との距離は広がっていきました。
ラストでアンディはミランダの元を去ります。
ただし、それはミランダや仕事の世界を完全に否定した選択ではありません。
仕事に人生をかけるミランダの姿を見たうえで、アンディは自分の進む場所を選び直したようにも見えます。
続編『プラダを着た悪魔2』では、アンディは再び仕事の中で評価される立場になります。
炎上によって仕事が揺らぐ中、文章を書く力を認められ、再びミランダと関わっていきます。
一方のミランダも、時代の変化や引退を意識させる空気の中で、それでも仕事から離れようとはしません。
作中では、ミランダが「いろいろなものを犠牲にしてきたけれど、それでも仕事が好き」という意味の言葉を口にする場面があります。
1作目では、アンディがミランダの世界から離れていく物語に見えました。
しかし続編まで見ると、アンディもミランダも、形は違っても仕事に人生を動かされている人物だったことが見えてきます。
若い頃はミランダが怖い上司に見えた
『プラダを着た悪魔』を若い頃に見ると、ミランダはとにかく怖い上司に見えます。
感情を大きく出さず、部下に厳しい要求を出し、失敗も簡単には許しません。
アンディはファッション業界の知識も経験もないまま、ミランダの下で働き始めます。
そのため、最初はアンディに感情移入しやすい作品です。
理不尽な職場で必死に耐える新人。
冷たく見える上司。
その構図だけを見ると、ミランダはアンディを追い詰める存在に見えます。
しかし、この見方は作品の前半だけを見た印象に近いです。
ラストまで見ると、ミランダはただ怖いだけの人物ではなかったことも分かってきます。
アンディはなぜミランダの元を去ったのか
1作目のラストで、アンディはミランダの元を去ります。
若い頃に見ると、「アンディが自分を取り戻した」と感じた人も多かったかもしれません。
しかし、大人になってから見ると、少し違う見え方もできます。
アンディは、ただ仕事に疲れて辞めたわけではありません。
ミランダの世界で働く中で、仕事で認められる喜びや、自分が必要とされる感覚を知っていました。
その一方で、仕事を優先するほど、昔の自分や人間関係から離れていく感覚も抱えていました。
だからこそ、アンディが去ったのは「ミランダが嫌だったから」という単純な話ではないようにも見えます。
ミランダの生き方を理解したうえで、自分は別の場所で仕事を続ける道を選んだ。
ラストのアンディには、そんな空気もありました。
そして続編を見ると、アンディもまた、仕事の世界から完全には離れられなかったことが分かってきます。
アンディはミランダを否定したわけではなかった
1作目のラストだけを見ると、アンディはミランダの世界を拒絶して去ったようにも見えます。
しかし実際には、アンディはミランダの仕事ぶりを間近で見続けていました。
冷たく見える判断。
厳しすぎる要求。
その裏には、簡単には崩れない責任感や、結果を出し続ける覚悟もありました。
アンディは途中まで、その世界を軽く見ていた部分があります。
ですが、働く中で少しずつ考え方が変わっていきます。
だからこそラストでは、ミランダを完全に否定して終わる空気にはなっていませんでした。
むしろアンディは、ミランダのようにはならない道を選びながらも、仕事に本気で向き合う感覚そのものは受け継いでいたようにも見えます。
続編『プラダを着た悪魔2』では、その変化がさらに分かりやすく描かれていました。
アンディ自身も、結局は仕事の世界で認められ、再び前に進もうとしていたからです。
大人になるとミランダの孤独が見えてくる
若い頃は、ミランダの厳しさばかりが印象に残ります。
しかし、大人になってから見ると、ミランダが背負っていたものも少しずつ見えてきます。
ミランダは、ただ部下を追い詰める上司ではありません。
常に結果を求められ、失敗すれば立場を失う世界で、トップに立ち続けている人物です。
そのためには、周囲よりも冷静でいなければならず、簡単に弱さも見せられません。
1作目でも、ミランダは家庭や結婚について問題を抱えていました。
続編『プラダを着た悪魔2』では、さらに時代の変化や引退を意識させる空気も描かれています。
それでもミランダは、ファッションの世界から離れようとはしません。
ミランダにとって仕事は、ただ地位や名声のためのものではなく、自分が本当に好きなものでもあったからです。
作中では、「いろいろなものを犠牲にしてきたけれど、それでも仕事が好き」という意味の言葉を口にする場面もありました。
若い頃は「怖い上司」に見えていた人物が、大人になると「好きなものを仕事にして生きてきた人」にも見えてくる。
そこが、『プラダを着た悪魔』が今も刺さる理由のひとつなのかもしれません。
ミランダとアンディが選んだ“仕事”の意味
『プラダを着た悪魔』は、単純な成功物語ではありません。
1作目でアンディは、ミランダの元を去りました。
しかし続編まで見ると、アンディもまた、仕事の世界から完全には離れられなかったことが分かります。
文章を書く力を認められ、再び仕事の中で評価され、前に進もうとしていました。
一方のミランダも、いろいろなものを犠牲にしながら、それでもファッションの世界を手放しませんでした。
ミランダにとって仕事は、地位や名声のためだけではなかったのだと思います。
アンディもまた、ミランダとは違う形で、仕事に自分の居場所を見つけていきます。
二人が選んだ“仕事”の意味とは、ただ働くことではありません。
好きなものに人生をかけながら、それでも自分の場所で生きようとすることだったのだと思います。
だからこそ、20年近く経った今でも、多くの人の心に残り続けているのかもしれません。
続編で再注目される理由
『プラダを着た悪魔』が今あらためて注目されている理由のひとつは、続編『プラダを着た悪魔2』で、時代そのものの変化が描かれているからです。
1作目の頃は、雑誌やファッション誌の影響力が今よりずっと強い時代でした。
しかし現在は、紙媒体そのものが厳しい状況になっています。
実際に、新聞や雑誌は世界的にデジタル化が進み、コスト削減や読みやすさが求められる流れになっています。
一方で、雑誌の世界は広告によって成り立っている部分も大きく、ファッションに大きなお金をかけられる華やかさもありました。
続編では、そんな“古いメディアの時代”から、“新しい時代”へ変わっていく空気も描かれていました。
そして、その変化の中で、ミランダ自身も老いや限界を意識し始めています。
作中では、ミランダが「退き方が分からない」という意味の言葉を漏らす場面もありました。
それは単に仕事を辞めたくないというより、自分の人生そのものが仕事と結びついているからなのかもしれません。
そんなミランダに対して、アンディは「まだ終わってほしくない」と感じているようにも見えました。
若い頃は対立していた二人が、続編ではどこか理解し合っている。
そこが、『プラダを着た悪魔2』が今の時代に刺さる理由のひとつなのかもしれません。
まとめ
『プラダを着た悪魔』は、1作目と続編をあわせて見ることで、若い頃とは違う見え方をする作品です。
1作目では、アンディがミランダの元を去り、自分の人生を選び直したように見えました。
しかし続編まで見ると、アンディもミランダも、形は違っても仕事に人生を動かされている人物だったことが分かります。
ミランダは、ファッションが好きで、仕事が好きだった。
私生活を犠牲にしてきたとしても、それでも離れられないほど、仕事が自分の人生そのものになっていたのだと思います。
続編では、紙媒体の厳しさやデジタル化の流れ、そしてミランダ自身の老いも描かれます。
時代の波の中で、退くことを考えながらも、それでも簡単には終われない。
そこに、ミランダという人物の苦しさと強さがあります。
一方のアンディも、ミランダを完全に否定したわけではありません。
仕事に本気で向き合うミランダの強さを知っていたからこそ、続編では「まだ終わってほしくない」と感じていたようにも見えました。
最後は、ミランダとアンディがタッグを組み、ランウェイを困難から守るという痛快な展開で締めくくられます。
『プラダを着た悪魔』が今も刺さるのは、ファッションの華やかさだけでなく、好きなものを仕事にして生きる人の苦しさと誇りまで描いているからではないでしょうか。

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