『マイ・フィクション』第6話では、ペルソナ・シフト・プログラムの始まりと、石野奈々美や津村大輔が人生を狂わされた真相が一気に明らかになりました。
しかし、今回もっとも不気味だったのは二宮祐介です。津村を罠にはめ、奈々美の記憶を「一から書き換える」と指示しながら、由梨には「全部元どおりだ」と告げました。さらに第7話予告では、二宮が2年前に自ら記憶を書き換えたことまで示されています。
警察官だったはずの二宮は、なぜニューロヴァイス側の人間として動いているのか。香坂睦美はなぜ計画に協力し続けるのか。そして「娘に会えていない」という香坂の言葉には何が隠されているのか。第5話までの考察とつなげながら、第6話で生まれた新たな違和感を掘り下げます。
マイ・フィクションの相関図とキャスト
『マイ・フィクション』の公式相関図は、第4話の放送後に更新されました。
伊川正樹の正体は、2年前に死亡したはずの二宮祐介。さらに、妻の伊川真弓も、7年前に夫を殺して服役していた石野奈々美だったことが判明しています。
正樹と真弓は、どちらも本来の名前と過去を失い、偽の夫婦として森沼ネクスタウンで暮らしていました。
更新された相関図では、二宮由梨・津村大輔との関係に加え、室谷隆敏、香坂睦美、辻元晴人までつながり、記憶を操作する側と追う側の構図も見え始めています。
まずは最新の相関図から、第4話時点で判明している人物関係を整理します。

出典:ABCテレビ『マイ・フィクション』公式サイト(相関図)
『マイ・フィクション』の原作の有無やキャスト、妻・真弓の人物像など、作品全体の基本情報は紹介記事で整理しています👇

マイ・フィクション6話のネタバレあらすじ
津村大輔と辻元晴人は、香坂睦美が担当した受刑者たちの記録から「ペルソナ・シフト・プログラム」の存在へ近づいていました。しかし、二宮祐介だけには逮捕歴がありません。香坂へ確認しようとした直後、二人は駐車場で車に突っ込まれます。
8年前、香坂は上司の上本とニューロヴァイス社の代表・相馬から、記憶を消すだけでなく新たな記憶を植え込む技術について説明を受けます。無期懲役囚を別人として社会復帰させる極秘計画に香坂は「人権侵害だ」と反発しますが、その後、通り魔事件を起こした室谷隆敏を被験者第1号として送り込むことになります。
室谷は「橘直哉」として社会復帰しますが、職場で石野辰哉とトラブルになったことで記憶が戻り、辰哉を殺害。その後、かつて自分を取り押さえた津村への復讐に向かいます。室谷は津村に刺されながらも一命を取り留めますが、上本はプロジェクトの失敗を隠すため、室谷を死亡扱いにし、津村を殺人犯へ仕立てました。
さらに、室谷が辰哉を殺した事実も隠され、妻の石野奈々美に夫殺しの罪が着せられます。奈々美も津村も、ペルソナ・シフトの失敗を隠すために人生を狂わされた人物だったのです。
現在、事故から助かった津村と辻元は、盗難車による襲撃だったことから事故ではないと疑います。一方、奈々美は香坂と直接対峙。「夫を殺した罪を着せたのはあなた?」と問い詰めると、香坂は「申し訳なかったと思ってる。でも仕方なかった」と認めます。奈々美が娘と暮らさせてほしいと訴える中、香坂は「私も、あることがあって、しばらく娘に会えていない」と明かしますが、奈々美は薬で眠らされ連れ去られてしまいます。
正樹から連絡を受けた津村は、奈々美につけられたGPSを頼りにニューロヴァイスの施設へ。そこで津村は香坂へ、奈々美だけ刑期10年なのに被験者へ選ばれた理由、室谷が辰哉を殺したこと、その罪を奈々美へ着せたことまで突きつけます。そして犯罪歴のない二宮について、「二宮は何をしたんですか?」と尋ねると、香坂は「全部よ」と答えました。
その瞬間、正樹が背後から津村へ注射。多田は笑顔で「おかえり、二宮」と声をかけます。実は二宮はすでに記憶を取り戻しており、駐車場で津村と辻元を襲ったのも二宮でした。由梨と賢人を守る代わりに香坂へ協力し、奈々美を引き渡し、津村を施設へ誘導していたのです。
二宮は由梨のもとへ戻り、「由梨、ただいま」と抱きしめます。そして津村は人を殺していた、もう現れないと嘘をつき、「これで、全部元どおりだ」と告げました。
しかし施設では、津村の記憶を書き換える準備が進み、奈々美についても二宮は「一部ではなく、一から記憶を書き換えます」と指示。眠る津村を見ながら「全部元どおりに」とつぶやきます。やがて津村が目を覚ますと、向かいの部屋には死んだことにされていた室谷隆敏が座っていました。
第6話では、これまで積み上げてきた考察の答えが一気にひっくり返りました。二宮の記憶改ざんや香坂の立場を第5話時点でどう考えていたのか、前回の考察から続けて読むと今回の反転がより見えてきます👇

二宮祐介はなぜ記憶改ざんした?「これでいいんだ」の意味が変わった
第5話まで、二宮祐介はペルソナ・シフト・プログラムの秘密を知ってしまい、口封じのため記憶を消されたのではないかと考察してきました。
しかし、第6話と第7話予告によって、この見方は大きく変わります。
香坂睦美は二宮に、「2年前、なぜ自分から記憶を書き換えたの?」と問いかけています。
つまり二宮は、無理やり伊川正樹にされたのではなく、自ら二宮祐介としての記憶を捨てることを選んだということです。
ここでつながるのが、第1話冒頭です。
記憶を書き換える処置を受けていた二宮は、涙を浮かべながら「これでいいんだ」と口にしていました。当時は家族を守るため、仕方なく記憶改ざんを受け入れたようにも見えました。
しかし今振り返ると、あの涙は「消されることへの恐怖」ではなく、自分から過去を捨てると決めた二宮の後悔や苦しさだったのではないでしょうか。
そのヒントになりそうなのが、2年前の香坂の言葉です。
「それは元には戻らないの?」
そして香坂は、「どうして人間だけが後悔することを覚えたんだろう」と考えていました。
二宮が記憶を書き換えたのも2年前です。7年前の室谷事件から5年も経っている以上、室谷事件だけを理由に突然すべてを捨てたとは考えにくい。
2年前、二宮には「元には戻らない」と思うほど決定的な何かが起きた。だから、その後悔ごと二宮祐介という人生を消そうとした。
そう考えると、「これでいいんだ」という言葉にも重みが出ます。
さらに現在の二宮は、奈々美を再び記憶改ざんの対象にし、津村まで罠にはめました。それでも由梨と賢人のもとへ戻ると、「これで、全部元どおりだ」と告げています。
しかし、奈々美と津村の人生を再び壊して作る「元どおり」は、本当に元どおりなのでしょうか。
第1話では、自分の記憶を消すことを選んだ二宮が、第6話では他人の記憶を消す側へ回りました。
「これでいいんだ」と自分の過去を捨てた二宮が、今度は「全部元どおり」と他人の人生まで書き換えようとしている。
二宮が2年前に何を後悔したのかが明らかになれば、この二つの言葉の本当の意味もつながってきそうです。
二宮は警察官なのにニューロヴァイスの人間?正体を4パターンで考察
第6話で一気に分からなくなったのが、二宮祐介の本当の立場です。
由梨は二宮を警察官だったと認識しています。7年前、室谷が瀕死で倒れていた場面にも二宮は現れ、津村とつかみ合っていました。
ところが第6話ラストでは、多田から「おかえり、二宮」と迎えられ、奈々美について「一から記憶を書き換えます」と指示しています。さらに第7話予告では、津村が「二宮はニューロヴァイスの人間だった」と話しています。
警察官だった二宮と、ニューロヴァイス側の二宮。どちらも本当なら、二宮は最初からペルソナ・シフトの内部にいたことになります。
A:警察官のままペルソナ・シフトに参加していた
現時点で一番辻褄が合うのがこのパターンです。
二宮は本当に警察官だった。ただし通常の警察業務だけではなく、香坂と同じように警察側からペルソナ・シフトへ参加し、ニューロヴァイスと受刑者をつなぐ実働担当だった。
これなら、由梨が警察官だと覚えていることも、二宮が室谷事件に関わっていたことも、現在ニューロヴァイス内部の人間のように振る舞えることも説明できます。
室谷は被験者第1号でした。もし二宮がその時点からプログラムに関わっていたなら、室谷の記憶が戻り、辰哉を殺し、友人の津村まで襲った一連の惨事を最前線で見ていたことになります。
それでも二宮は、その後5年間この世界から離れなかった。
二宮は被害者になる前に、長い間「記憶を書き換える側」だったのではないでしょうか。
B:「警察官だった」という由梨の記憶自体が偽物
もっと怖いのはこちらです。
二宮は最初からニューロヴァイス側の人間で、由梨が覚えている「警察官の夫・二宮祐介」という経歴そのものが作られた記憶だった。
このドラマでは、本人が真実だと信じている記憶が何度も覆されています。
そうなると、由梨だけが例外だと言い切れるのでしょうか。
由梨との結婚、賢人の父親であることまで偽物とは考えにくいものの、二宮の職業や過去の一部だけ由梨に別の記憶を与えたという仕掛けなら成立します。
もしそうなら、第7話でひっくり返るのは二宮の正体だけではありません。
由梨が信じてきた「二宮祐介との人生」そのものです。
C:警察官からニューロヴァイス側へ移った
二宮は最初、本当に普通の警察官だった。しかし7年前の室谷事件をきっかけに、ペルソナ・シフトの存在を知り、その後ニューロヴァイス側へ深く入り込んでいったというパターンです。
この場合、7年前の二宮と現在の二宮に矛盾はありません。
むしろ気になるのは、その間の5年間です。
室谷事件を知った二宮は、なぜプロジェクトを告発しなかったのか。なぜ香坂たちと関わり続け、最後には自分まで被験者になったのか。
二宮は真相を暴こうとして内部へ入ったのではなく、途中から本気でペルソナ・シフトを必要とする側へ変わってしまったのかもしれません。
D:そもそも「二宮祐介」も最初の人格ではない
一番大胆に考えるなら、ここまであります。
私たちは「二宮祐介が本物で、伊川正樹が作られた人格」だと思っています。
しかし、本当にそうでしょうか。
二宮が記憶改ざん技術に精通し、香坂から「全部よ」とまで言われる人物なら、2年前が初めての記憶改ざんだったとは限りません。
二宮祐介という人生そのものが、さらに前に作られた人格だったとしたら?
だから2年前の処置も、「二宮から伊川へ」という初めての書き換えではなく、二宮が何度目かの人生を選び直しただけだった。
ここまでいくと由梨との過去まで疑うことになりますが、『マイ・フィクション』というタイトルを考えると、完全には切れない考察です。
現時点では、Aの「警察官でありながら、ペルソナ・シフトの実働側でもあった」説が最も有力だと考えます。
ただし、第7話で二宮の過去が明かされた瞬間、BやDまで一気に浮上してもおかしくありません。
二宮祐介は記憶を書き換えられた被害者ではなく、最初からこの物語を作る側にいたのかもしれません。
香坂はなぜペルソナ・シフトに協力した?
8年前、香坂睦美はペルソナ・シフト・プログラムの存在を知らされた時、「こんなことがあってはならない」と強く反発していました。
無期懲役囚の記憶を書き換え、別人として社会へ戻す。上本が「社会のゴミを再利用するプロジェクトだ」と言っても、香坂は人権侵害だとして協力を拒もうとします。
ところが、その後に室谷隆敏が通り魔事件を起こします。
被害者をさらに傷つけようとし、津村大輔にも「出たら覚悟しろ」と言い放つ室谷を目の当たりにしたことで、香坂の考えは変わりました。
室谷はペルソナ・シフトの被験者第1号となり、「橘直哉」として社会復帰します。
つまり香坂が最初に計画へ協力した理由は、かなり見えてきました。
「更生しない犯罪者でも、記憶そのものを変えれば別の人生を生きられる」――香坂は室谷を見て、この考えに傾いたのでしょう。
しかし、本当に気になるのはその後です。
計画は早々に失敗しました。
橘直哉として生活していた室谷は記憶を取り戻し、石野辰哉を殺害。さらに津村への復讐に向かいました。
その失敗を隠すために、津村は殺人犯にされ、奈々美には夫殺しの罪が着せられます。
香坂自身も奈々美に、「申し訳なかったと思ってる。でも、仕方なかった」と認めています。
ここまで多くの人の人生を壊していると知りながら、なぜ香坂は今も計画を止めないのでしょうか。
その答えにつながりそうなのが、奈々美との会話でした。
奈々美から「あなたは毎日娘に会えているでしょう?」と言われた香坂は、「私も、あることがあって、しばらく娘に会えていない」と答えています。
さらに2年前、電話口で「それは元には戻らないの?」と聞いた後、香坂は「どうして人間だけが後悔することを覚えたんだろう」と考えていました。
この二つを単なる別の話として片づけるには、少し不自然です。
私は、香坂自身にも“消してしまいたい過去”があるからこそ、ペルソナ・シフトを完全には否定できなくなったのではないかと考えます。
犯罪者の更生から始まったはずの計画が、いつの間にか香坂にとっては「後悔から人間を救う技術」に変わってしまった。
だから第6話で香坂は、「もし記憶を書き換えて永遠に別の人間として生きられるとしたら、どれほどいいか」とまで言ったのでしょう。
そして、ここでもう一つ引っかかるのが娘です。
香坂が娘に会えなくなった理由は、まだ明かされていません。
ただの離婚や家庭の事情なら、ここまで「後悔」という言葉と重ねて描くでしょうか。
香坂がペルソナ・シフトを止められない本当の理由は、犯罪者ではなく、自分自身と娘の過去にある。
第7話では、香坂が何を後悔し、なぜ娘に会えなくなったのかが、計画に協力し続ける理由とつながってくると考えます。
津村は本当に人を殺した?
第5話で正樹は津村を見た瞬間、頭を押さえながら記憶の一部を取り戻し、由梨に「あの人は人を殺している」と告げました。
しかし第6話で、その殺人事件の真相は完全にひっくり返ります。
室谷隆敏は津村に刺されたものの死んでいませんでした。上本がペルソナ・シフトの失敗を隠すため、室谷を死亡扱いにし、「津村が室谷を殺した」という事件そのものを作り上げていたのです。
では、正樹が取り戻した「あの人は人を殺している」という記憶は何だったのでしょうか。
私はここに二つの意味が重なっていると考えます。
まず一つは、二宮の記憶そのものに「津村は殺人犯」という偽の情報が入れられていたことです。
二宮は自分から記憶を書き換えていますが、伊川正樹になる際に何を残し、何を消し、何を新たに入れたのかはまだ分かっていません。ペルソナ・シフト側にとって津村は「室谷を殺した殺人犯」です。ならば、その偽りの事件記録まで正樹の新しい記憶に組み込まれていても不思議ではありません。
だから正樹は津村を見た瞬間、真実ではなく、組織が作った「津村=殺人犯」という記憶を取り戻したのではないでしょうか。
そしてもう一つは、現在の二宮が由梨についた嘘です。
二宮は由梨のもとへ戻ると、「津村さんは捕まった。やっぱり人を殺していたんだ。もう俺たちの前には現れない」と説明しました。
しかし、この時の二宮はすでにすべてを思い出し、津村をニューロヴァイスの施設へ誘い込んだ本人です。
つまりこちらは記憶違いではありません。
津村の記憶を消すことを由梨に知られないため、二宮が意図的に「警察に捕まった殺人犯」という話を作ったと考える方が自然です。
由梨が津村を心配すれば、行方を調べるかもしれない。辻元に連絡するかもしれない。そうなれば二宮が取り戻した「元どおり」の生活は、また壊れてしまいます。
だから二宮は津村を施設に閉じ込めただけではなく、由梨の中からも津村を遠ざけようとした。
ここが怖いところです。
7年前、組織は「津村は殺人犯」という嘘で津村の人生を奪いました。そして今度は二宮が、まったく同じ嘘を使って津村を由梨の人生から消そうとしている。
二宮はペルソナ・シフトの被害者になったのではなく、記憶を取り戻したことで、再びあの組織と同じやり方を選び始めています。
「全部元どおり」と言いながら二宮がやっていることは、元に戻すことではありません。
都合の悪い人間と真実を消し、自分が望む形に現実を書き換えることです。
それはまさに、ペルソナ・シフトそのものではないでしょうか。
室谷が生きている意味は?
第6話の最後、津村が閉じ込められた部屋の向かいには、死んだことにされていた室谷隆敏がいました。
ここ、ただ「室谷は生きていました」という確認だけで終わらせる場面ではないと思います。
室谷はペルソナ・シフトの被験者第1号であり、同時にこの計画が失敗することを証明してしまった人物です。
「橘直哉」として新しい人生を与えられても、石野辰哉とのトラブルをきっかけに室谷だった頃の記憶を取り戻した。そして辰哉を殺し、津村への復讐に向かった。
つまりニューロヴァイスにとって室谷は、成功例ではありません。
むしろ、絶対に外へ出してはいけない「失敗の証拠」です。
それなのに7年間も殺さず、生かし続けている。
私はここが一番引っかかります。
室谷は単に監禁されているのではなく、「なぜ記憶が戻ったのか」を調べるための実験材料として、今も使われ続けているのではないでしょうか。
上本も7年前、「奴の脳に何があったのか、徹底的に調べさせる」と話していました。
だとすれば、室谷の存在は現在のペルソナ・シフト技術そのものにつながっています。
そして今、その室谷の向かいに津村が入れられました。
これは偶然とは思えません。
津村は室谷に人生を壊された人物であり、同時に室谷を殺した犯人に仕立てられた人物です。
7年前なら、この二人は完全な敵でした。
しかし現在は違います。
室谷も津村も、ニューロヴァイスによって人生を奪われ、都合のいい存在に作り替えられた側です。
室谷は記憶を戻したことで監禁され、津村は真実に近づいたことで今度は記憶を消されようとしている。
もしかすると第7話では、最もあり得なかった二人が手を組む展開もあるのではないでしょうか。
室谷がどこまで正気なのかは分かりません。それでも、7年前に辰哉を殺し、津村への復讐に向かった当事者であることは確かです。
津村を救う鍵が、かつて津村を殺そうとした室谷になる。
ここまでひっくり返れば、『マイ・フィクション』らしい展開です。
そして室谷が外へ出れば、津村の殺人罪も、奈々美の冤罪も、ペルソナ・シフトの隠蔽も一気に崩れます。
ニューロヴァイスにとって本当に消さなければならない人物は、津村ではなく、7年間生かしてしまった室谷なのかもしれません。
二宮の裏切りは本物?「全部元どおり」の裏の意味
第6話だけを見れば、二宮祐介は完全に津村と奈々美を裏切りました。
奈々美を香坂のもとへ向かわせ、GPSを使って津村を施設へ誘導。最後は自ら津村へ注射を打ち、多田から「おかえり、二宮」と迎えられています。
ところが、私はまだ二宮が本当にニューロヴァイス側へ戻ったとは言い切れないと思っています。
二宮が香坂に協力すると決めた時、最初に口にしたのは「由梨や賢人には手を出さないでください」でした。
組織への忠誠ではなく、家族を守るための取引です。
そして二宮が動いた結果、津村はニューロヴァイスの施設へ入り、7年間隠されていた室谷の居場所まで判明しました。外には事故現場の二宮に気づいた辻元も残っています。
奇妙なことに、二宮が裏切ったことで、真相を暴くために必要な人物と証拠が一気に集まり始めているのです。
さらに引っかかるのが、二宮の「全部元どおり」という言葉です。
由梨には「津村は捕まった。もう俺たちの前には現れない」と嘘をつき、施設では奈々美の記憶を「一から書き換える」と指示しました。
普通に受け取れば、自分の家庭だけを取り戻すために邪魔な人間を消そうとしている、かなり身勝手な二宮です。
でも、もしこの「全部」が由梨と賢人だけを指していなかったらどうでしょう。
7年前に殺人犯へ仕立てられた津村。夫殺しの罪を着せられた奈々美。死んだことにされ、7年間閉じ込められている室谷。そして二宮自身。
二宮が本当に元に戻したいのは、ペルソナ・シフトによって狂わされた“全部”なのではないでしょうか。
そのためには外から組織を追うより、かつての立場へ戻り、内部へ入り込む方が早い。
多田に「おかえり二宮」と言わせるところまで含めて、二宮はニューロヴァイスに「完全にこちら側へ戻った」と思わせようとしているとも読めます。
もちろん、津村まで最初から作戦を知っていたとはまだ考えにくい。津村は本当に注射され、閉じ込められています。
だから私は、二宮だけが秘密の作戦を進め、津村をあえて施設内部へ送り込んだと考えます。
そうだとすれば、第6話の二宮は「裏切り者」ではなく、かなり危険な賭けに出たことになります。
第1話で二宮は、涙を浮かべながら「これでいいんだ」と言い、自ら記憶を書き換えました。ところが現在は、由梨と賢人のもとへ戻り「全部元どおりだ」と告げています。
2年前には家族も自分の名前も捨てることを選んだ二宮が、なぜ今になって元の生活へ戻ろうとしているのか。その理由こそ、二宮が自ら記憶を消した真相につながっているはずです。
奈々美の記憶はなぜ消えない?ペルソナ・シフトの欠陥
第6話で多田は、津村の記憶を書き換える話を進める一方、奈々美について二宮にこう確認していました。
「石野奈々美は大丈夫なのか?記憶が消えなくなってるようだけど」それに対して二宮は、「一部ではなく、一から記憶を書き換えます」と答えています。
ここで二宮が「一から」と言ったのは、奈々美との思い出を消したいからではなく、これまでのように一部分だけ記憶を処理しても、もう奈々美には効かないと判断したからです。
そして、この問題は奈々美だけではありません。
ペルソナ・シフトの被験者第1号だった室谷も、「橘直哉」として別人の人生を与えられながら、石野辰哉とのトラブルをきっかけに過去の記憶を取り戻しました。
奈々美も正樹とともに再び処置を受けた後、それでも石野奈々美としての記憶を取り戻しています。
つまりペルソナ・シフトは、人間の記憶を完全に消せるわけではないようです。
消したはずの記憶は脳のどこかに残り、強い感情や過去とつながる人物・出来事に触れた時、再び表へ出てくる。
室谷の場合は辰哉とのトラブルでした。
奈々美の場合は、娘みゆへの思い、正樹との生活、そして自分が殺人犯ではないという強い違和感が、消された記憶を引き戻したとも考えられます。
そうなると、二宮自身が記憶を取り戻したことも同じです。
二宮は自ら記憶を書き換えて伊川正樹になった。それでも津村との再会などをきっかけに、二宮祐介としての記憶が戻ってきました。
室谷、奈々美、二宮。
ここまで記憶を取り戻す人物が続くなら、これは偶然ではありません。
ペルソナ・シフト最大の欠陥は、「記憶は消せても、その人が生きてきた感情までは完全には消せない」ことなのではないでしょうか。
だからニューロヴァイスは奈々美について、部分的な修正ではなく「一から」やり直そうとしている。
しかし、それでも本当に消せるのか。
一度ならず二度までも記憶を取り戻した奈々美は、むしろペルソナ・シフトそのものを崩す存在になり始めています。
記憶を書き換えれば別人になれる――その前提自体が、すでに室谷、奈々美、二宮の3人によって崩れ始めているのではないでしょうか。
二宮はいつ記憶を取り戻した?
第6話でも、二宮祐介が「いつ」完全に記憶を取り戻したのかは明かされませんでした。
ただ、振り返ると怪しい場面はあります。
正樹は川で津村と再会した時、突然頭を押さえてうずくまり、その場から逃げ出しました。その後、由梨には「あの人は人を殺している」と、一瞬戻った記憶について話しています。
この時点では、正樹自身も「一部だけ思い出した」と認識していたように見えました。
ところが第6話では、駐車場で津村と辻元を車で襲った人物が二宮だったことが判明します。
事故後に現れた香坂が、「いつ記憶が戻ったの?」と問いかけると、正樹は目を閉じ、明らかに「伊川正樹」ではなく二宮祐介として香坂と話し始めました。
つまり少なくとも、駐車場の事故を起こした時には、二宮は自分が何者なのかを理解していたことになります。
では、川で津村を見た時にはどこまで戻っていたのでしょうか。
私は、あの再会が二宮祐介を呼び戻した最初の大きな引き金だったと考えます。
津村を見て過去の映像が戻った。その後、少しずつ記憶がつながり、ニューロヴァイスや香坂、自分が2年前に何をしたのかまで思い出していった。
そして二宮は、記憶が戻ったことを周囲に隠したまま動き始めた。
そう考えると、第6話までの正樹の言動にも別の見え方が出てきます。
私たちが「伊川正樹」だと思って見ていた場面の中に、すでに二宮祐介へ戻っていた場面が混ざっていたのではないでしょうか。
特に、奈々美へ「向こうはあなたの口を封じたがっている。それを利用すれば交渉できるかも」と香坂との接触を提案した場面。
あの時の二宮は、すでに香坂と取引した後でした。
奈々美を助けようとしていたように見えた言葉は、実際には奈々美を香坂のもとへ向かわせるための誘導でした。
ここまで来ると、第6話の二宮はかなり怖い人物です。
記憶が戻った瞬間に人格そのものが変わったのではなく、伊川正樹として振る舞いながら、裏では二宮祐介として別の計画を進めていた。
では、いつからだったのか。
私は今のところ、津村との再会で記憶が大きく動き、駐車場の事故までには二宮祐介へ戻っていたと考えます。
そして第7話で「全部思い出したんだよね?」と由梨が問いかける以上、二宮が何をどの順番で思い出したのかも、かなり重要になりそうです。
第7話予告|辻元は津村の異変に気づく?
第7話では、二宮祐介の過去だけでなく、津村と辻元がどう動くのかにも大きな変化がありそうです。
第6話ラストで、津村はニューロヴァイスの施設に監禁され、記憶を書き換える準備をされていました。
しかし予告では、津村が再び動き出し、「俺がなんとかする」と話す姿があります。
つまり、津村はこのまま記憶を消されて終わるわけではなさそうです。
問題は、どうやって逃れるのか。
向かいの部屋には、7年前から生かされていた室谷がいます。かつて殺し合うほど対立した二人ですが、今はどちらもニューロヴァイスに人生を狂わされた側です。
ここでまさかの津村と室谷が手を組む展開も考えられます。
そして施設の外には辻元が残っています。
辻元はすでに、津村たちを襲った事故現場に二宮がいたことを確認しています。さらに、このまま津村と連絡が取れなくなれば、事故と津村の失踪がつながっていると気づくはずです。
内部では津村、外では辻元。二人が別々の場所からニューロヴァイスを追い詰める形になるのではないでしょうか。
さらに第7話では賢人の誘拐も起きるようです。
これまで「家族を守る」ことを最優先にしてきた二宮にとって、賢人が狙われれば「全部元どおり」という計画そのものが崩れます。
第7話は、二宮の過去を明かすだけの回ではなく、津村が記憶改ざんから逃れられるのか、辻元が二宮の正体へどこまで迫るのか、そして賢人の誘拐で二宮と香坂の関係がどう変わるのか。一気に物語が動く回になりそうです。
まとめ
『マイ・フィクション』第6話では、ペルソナ・シフト・プログラムの始まりと、室谷隆敏が石野辰哉を殺した真犯人だったことが判明しました。津村大輔と石野奈々美は、プロジェクトの失敗を隠すために殺人犯へ仕立てられていたのです。
一方、最大の謎として残ったのが二宮祐介です。警察官だったはずなのにニューロヴァイスの内部事情を知り、2年前には自ら記憶を書き換えて伊川正樹になっていました。さらに記憶を取り戻した現在は津村を罠にはめ、由梨と賢人のもとへ戻って「全部元どおり」と告げています。
しかし、二宮の裏切りが本物なのか、それともニューロヴァイスを内部から壊すための行動なのかはまだ分かりません。
「これでいいんだ」と涙を浮かべて自分の記憶を捨てた二宮が、なぜ今度は「全部元どおり」と他人の記憶まで書き換えようとしているのか。
第7話では、二宮が2年前に何を後悔して自ら記憶を消したのかが最大の焦点になりそうです。
さらに、記憶改ざんを目前にした津村がどう逃れるのか、事故現場に二宮がいたことに気づいた辻元がどう動くのか。そして賢人の誘拐によって、「家族を守る」ことを最優先にしてきた二宮の選択も大きく揺さぶられそうです。

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