『マイ・フィクション』1・2話では、伊川正樹の人生が多田義孝に奪われ、妻・職場・友人まで彼を知らない異常な世界が描かれました。
さらに、伊川が自分の思い出だと信じていた大学時代の記憶は、岡崎という別人のものだったことが判明します。しかも多田は、その理由を知っているような反応を見せました。
なぜ多田は伊川を名乗ったのか。由梨の亡夫と伊川が瓜二つなのはなぜか。文鳥や手作りの財布だけが、書き換えられた世界から取り残されたのか。
本記事では、1・2話の伏線を整理し、森沼ネクスタウンで繰り返される記憶と人生の入れ替えを考察します。
マイ・フィクションの相関図とキャスト
『マイ・フィクション』の公式相関図では、伊川正樹を中心に、妻の真弓、由梨、津村、多田、香坂らが複雑につながっています。
人物同士の関係には、記憶やなりすまし、過去の秘密が絡み、物語が進むほど見え方が変わっていきます。
まずは相関図で、現在わかっている人物関係を整理します。

出典:ABCテレビ『マイ・フィクション』公式サイト(相関図)
マイ・フィクション1話2話までのあらすじ
まずは、第1話と第2話で伊川の人生がどのように奪われ、記憶の謎が深まったのかを整理します。
1話|妻にも職場にも忘れられた伊川
事件件数ゼロ・連続1100日を誇る森沼ネクスタウンで、伊川正樹は老人ホーム「はるなぎ園」の介護士として働き、妻の真弓と穏やかに暮らしていました。
ある日、無料定期検診を受けた伊川は、刑務所から出所したばかりの津村大輔を見た直後、激しい頭痛に襲われて川へ転落します。
1週間後、病院で目を覚ました伊川の手元には、スマホも身分を証明する物もありませんでした。自宅へ戻ると、死んだはずの文鳥・ピョートルが生きており、妻の真弓は職場の同僚・多田義孝と夫婦のように暮らしています。
職場でも誰一人として伊川を覚えておらず、多田が「伊川正樹」として出勤してきました。
行き場を失った伊川は、病院で出会った二宮由梨に助けを求めます。その後、再び自宅を訪ねた伊川に、真弓は「どちら様ですか?」と告げました。
2話|岡崎の記憶と由梨の亡夫が判明
真弓から「どちら様ですか?」と言われた伊川は、自宅に残る写真がすべて真弓と多田のものに変わり、庭に埋めたはずの文鳥の死体まで消えていることを知ります。
多田は伊川を排除するため、スタンガンを持って交番へ現れ、警官を襲撃しました。逃げ出した伊川は、再び由梨の自宅に身を寄せました。
そこで由梨は、2年前に亡くなった夫の遺影を見せ、その顔が伊川と瓜二つであることが明らかになります。
自分の存在を証明しようと考えた伊川は、大学時代の友人・市原良吾を訪ねます。しかし、市原も伊川を覚えていません。さらに、伊川が自分の思い出として語った大学時代の出来事は、岡崎という別人の記憶だったことが判明します。
市原は伊川の訪問を多田に報告し、なぜ岡崎の記憶を持っているのかと尋ねました。ところが、多田は「それは市原が知る必要はない」と答えます。
その後、伊川は施設利用者の塚本さんからもらった手作りの財布を思い出します。財布の中には、伊川と真弓が一緒に写った写真が残されており、塚本さんも写真を見て伊川を思い出しました。
一方、真弓は、生き返ったはずの文鳥が自分を避けることに違和感を抱きます。
伊川は写真を持って真弓を説得しますが、多田にスタンガンで襲われました。翌朝、伊川は何事もなかったようにいつもの道を歩き、自宅へ帰ります。
玄関を開けると、真弓はいつも通り「おかえり」と伊川を迎えました。伊川の人生は元に戻ったように見えますが、由梨や岡崎に関する記憶まで消された可能性が残っています。
伊川の記憶は誰のもの?
第2話で最も大きく浮かび上がったのは、伊川自身の記憶が別人のものだったという異常です。
大学時代の思い出は岡崎の記憶だった
伊川は大学時代の友人・市原を訪ね、自分しか知らないはずの昔話を語りました。
ところが、その思い出は伊川と市原の記憶ではなく、市原の旧友・岡崎のものでした。大学図書館で事実を確かめた伊川自身も、自分の記憶がおかしいことに気づき、不安を募らせます。
伊川は過去を忘れているのではありません。岡崎という別人の記憶を、自分の人生として覚えているのです。
周囲から伊川の記憶が消されただけなら、なりすましを成立させるための操作とも考えられます。しかし、伊川本人に別人の記憶が入っているなら、森沼ネクスタウンで行われているのは単純な記憶消去ではありません。
人の記憶を取り出し、別の人間へ移している可能性まで浮かび上がります。
多田は岡崎の記憶が入った理由を知っている
市原は伊川が訪ねてきたことを多田へ報告し、なぜ伊川が岡崎の記憶を持っているのかと尋ねました。
多田は否定も驚きもせず、「それは市原が知る必要はない」と答えています。
この返答から、多田は伊川の記憶に岡崎の過去が混ざっていることを知っていたと考えられます。
多田がどこまで仕組みを知り、誰の指示で動いているのかが、今後の焦点になります。
2話ラストで伊川の記憶は再び書き換えられた?
多田にスタンガンで襲われた翌朝、伊川は何事もなかったように町を歩き、自宅へ帰りました。
近所の人とのやりとりも、真弓の「おかえり」も、事故前の日常そのものです。
しかし、伊川が真弓に再び受け入れられた理由は説明されていません。
第3話予告では、由梨が伊川に駆け寄っても、伊川は「どなた様ですか?」と答えています。
これが本編どおりなら、伊川は元の生活を取り戻したのではなく、由梨と行動した記憶や、岡崎の記憶に気づいた事実まで消されたことになります。
伊川の人生は一度だけ奪われたのではありません。不都合な真実に近づくたびに、記憶と役割をリセットされていると見る方が自然です。
多田はなぜ伊川正樹を名乗った?
多田の行動を追うと、単なるなりすましではなく、誰かに与えられた役を演じていた可能性が見えてきます。
妻・自宅・職場まで伊川の人生を奪った多田
多田は、伊川の名前を使っているだけではありません。
真弓の夫として自宅で暮らし、職場では伊川正樹として働き、大学時代の友人・市原とも連絡を取っています。
自宅の写真まで真弓と多田のものに変わっていたことから、多田には伊川の経歴や人間関係まで用意されていたと考えられます。
伊川が突然戻ってくると、多田は「くっそ!」と声を荒らげ、スタンガンを持って交番にまで現れました。
この反応から、多田にとって伊川の帰還は、せっかく手に入れた生活を壊す想定外の出来事だったのでしょう。
「身代わり生活も楽しかったな」の意味
第3話予告では、多田が「身代わり生活も楽しかったな」と語っています。
この言葉どおりなら、多田は最初から伊川本人になるのではなく、期間限定の身代わりとして生活していたことになります。
つまり、多田が伊川を名乗ったのは、妻を奪いたかったからでも、職場で出世したかったからでもありません。
誰かに与えられた伊川正樹という役を、多田が引き受けていたと考えられます。
「身代わり」という言葉には、本来の伊川が戻れば役目が終わるという意味も含まれます。
多田が伊川を必死に排除しようとしたのは、真実を隠すためだけでなく、自分の新しい生活を失いたくなかったからではないでしょうか。
多田は黒幕ではなく実行役?
多田は岡崎の記憶について知っており、市原からの報告も受けていました。
しかし、町の住民や職場、真弓、市原の記憶を書き換え、写真や文鳥の過去まで変更することを、多田一人で行うのは不可能です。
森沼ネクスタウンには、人間の記憶と経歴をまとめて入れ替える組織や仕組みが存在すると見られます。
多田はその中心人物ではなく、指示を受けて伊川の代わりを務める実行役なのでしょう。
ただし、多田は何も知らずに操られている人物でもありません。岡崎の記憶について市原へ口止めしたことから、仕組みの一部は理解しています。
多田の正体以上に重要なのは、誰が多田を伊川の身代わりに選び、どこまで情報を与えていたのかです。
由梨の亡夫・岡崎・伊川はどんな関係?
由梨の亡夫と同じ顔、岡崎の記憶、伊川正樹という名前が、現在の伊川の正体を解く鍵です。
由梨の亡夫は伊川と瓜二つだった
由梨の自宅には、2年前に亡くなった夫の遺影が飾られていました。
その顔は、現在の伊川と瓜二つです。
由梨が初対面の伊川を見つめ、放っておけなかったのも、亡くなった夫と同じ顔をしていたからでしょう。
ただの偶然で同じ顔になったとは考えにくく、伊川の顔や身元自体が、由梨の亡夫とつながっている可能性が高まります。
伊川は由梨の夫に似ているのではなく、由梨の夫の人生の一部を引き継いだ人物なのかもしれません。
岡崎の記憶が伊川に入っている理由
伊川が自分の大学時代の思い出だと信じていた記憶は、岡崎という別人のものでした。
ここで気になるのは、由梨の亡夫と岡崎が同じ人物なのか、それとも別々の人物なのかです。
現時点では同一人物だと断定できません。
ただし、伊川の中には岡崎の記憶があり、顔は由梨の亡夫と瓜二つです。
つまり現在の伊川は、以下のポイントを組み合わせて作られた人物にも見えます。
- 由梨の亡夫と同じ顔
- 岡崎の大学時代の記憶
- 伊川正樹という名前と生活
森沼ネクスタウンで行われているのは、一人の記憶を書き換えるだけではなく、複数人の顔・記憶・経歴をつなぎ合わせ、新しい人生を作る仕組みなのではないでしょうか。
由梨が伊川に見覚えを感じた理由
第1話で由梨は、伊川を見た瞬間から何かに気づいたような反応を見せていました。
由梨はその後、身元を証明できない伊川の話を信じ、自宅へ招き入れています。
見知らぬ男性に対する行動としては踏み込みすぎていますが、亡くなった夫と同じ顔なら納得できます。
ただし、由梨が覚えているのは顔だけで、伊川自身を夫だと認識しているわけではありません。
これは、由梨だけが記憶操作を受けていないという意味ではなく、夫の死に関する記憶だけが残されている可能性もあります。
第3話予告では、今度は伊川が由梨を忘れています。
由梨は伊川の過去を知る人物でありながら、伊川の記憶から消される側に回ったことになります。
由梨の亡夫、岡崎、伊川の関係が明らかになれば、伊川が本当は誰なのかにも近づきそうです。
真弓や町の住民も記憶を操作されている?
真弓だけでなく、職場・友人・近所まで同じ記憶を共有していることから、操作は町全体に及んでいると考えられます。
真弓は本当に伊川を忘れていた?
真弓は、自宅を訪ねてきた伊川に「どちら様ですか?」と答え、多田を夫として受け入れていました。
家に飾られた写真も、伊川と真弓が写ったものではなく、多田と真弓の夫婦写真に変わっています。
しかし、真弓が自分の意思で伊川を裏切り、多田との生活を選んだとは考えにくい状況です。
第2話では、生きている文鳥・ピョートルが真弓を避け、なついていないことに真弓自身が気づきました。
記憶の中ではずっと世話をしてきたはずなのに、文鳥の反応だけがその生活を否定しています。
2話時点の真弓は多田の共犯ではなく、偽の記憶と人生を与えられた被害者側に見えます。
ただし、公式人物紹介では、真弓には幸せな表面からは見えない過去があるとされています。
真弓のすべての記憶が作られたものなのか、それとも本人も知らない過去が今回の入れ替えにつながっているのか。真弓は今後、記憶操作の被害者だけでは終わらない人物になりそうです。
文鳥だけは作り直された生活になじめていない
伊川が転落する前、文鳥のピョートルは死に、庭に埋められていました。
ところが伊川が自宅へ戻ると、ピョートルは生きており、庭を掘り返しても埋めたはずの死体はありません。
さらに、そのピョートルは真弓を避けています。
人間の記憶、家の写真、夫婦関係は書き換えられても、文鳥が誰になついていたかまでは完全に作り直せなかったのでしょう。
ピョートルは、ただ生き返った不思議なペットではありません。
作り直された伊川家の中に残った、過去と現在のズレを示す生きた証拠です。
現在のピョートルが別の個体なのか、死んだという伊川の記憶自体が偽物なのかはまだ不明です。
ただし、文鳥の反応によって、伊川と真弓のどちらの記憶も完全には信用できないことが示されています。
塚本の財布と写真だけが消されなかった理由
伊川が病院で目を覚ました時、スマホや身分証はなく、手元には施設利用者の塚本さんからもらった手作りの財布だけが残っていました。
その財布には、伊川と真弓が一緒に写った写真が入っていました。
写真を見た塚本さんは伊川を思い出し、真弓は元気かと尋ねています。
自宅の写真はすべて多田とのものへ変えられていましたが、伊川が外へ持ち出していた財布の中までは処理されなかったのでしょう。
さらに塚本さんの反応から、記憶は完全に消されたのではなく、奥に封じ込められている可能性もあります。
財布や写真のように過去と強く結びついた物に触れることで、本来の記憶が戻る仕組みなのかもしれません。
職場・友人・近所まで同じ偽の記憶を共有している
伊川を忘れていたのは、真弓だけではありません。
勤務先の職員、市原、近所の住民まで、多田を伊川正樹として受け入れています。
一人ずつ別々に記憶を変えたというより、町全体に「多田が伊川正樹である」という新しい設定が配られたように見えます。
特に近所の住民とのやりとりは、毎朝決められた順番で同じ会話を繰り返しているようで不自然でした。
第2話ラストでも、記憶を失った伊川が同じ道を歩くと、住民たちは何事もなかったようにいつもの挨拶を始めます。
私はこの場面から、映画『トゥルーマン・ショー』のような、周囲の人間が用意された日常を演じている世界を連想しました。
森沼ネクスタウンの住民は、自分の意思で生活しているのではなく、与えられた記憶と役割に従って動いているのではないでしょうか。
「事件・事故ゼロ」が更新され続ける町の異常
森沼ネクスタウンの交番前には、「事件・事故ゼロ」の連続日数を示す掲示板があります。
第1話では1100日、第2話では1109日まで更新されていました。
しかし、その間には伊川が津村に追われ、多田が交番へ侵入し、警官をスタンガンで倒す事件まで起きています。
伊川自身も多田にスタンガンで襲われました。
それでも掲示板では、事件・事故ゼロの日数だけが増え続けています。
森沼ネクスタウンは事件が起きない町ではなく、起きた事件を記録から消し、平和だったことにする町です。
交番が繰り返し映されるのも、単なる町の風景ではありません。
住民の記憶だけでなく、事件の記録や町の歴史まで上書きされていることを示す演出に見えます。
森沼ネクスタウンの「平和」は現実ではなく、誰かが維持している設定なのでしょう。
津村と伊川にはどんな関係がある?
津村は伊川を追う敵に見えますが、第2話では町の異常を調べる側としての顔も見せました。
津村はなぜ伊川を追っている?
津村は刑務所を出た直後、伊川を見つけて追い始めました。
伊川も津村を見た瞬間、断片的な記憶と激しい恐怖に襲われています。
しかし、第2話で津村が市原を訪ねた際の様子を見ると、伊川を殺そうとして追っているだけには見えません。
津村は香坂に、伊川が混乱した状態で岡崎の記憶を語っていたと報告し、「もう少し調べる」と話しました。
伊川に起きている異変を知り、その原因を確かめようとしているのです。
津村は伊川の敵に見えますが、森沼ネクスタウンの仕組みを暴こうとしている側なのかもしれません。
津村は元刑事だった?なぜ人を殺したのか
香坂と部下の会話から、津村はかつて警察に関係する立場にあり、人を殺した罪で服役していた可能性が高いと見られます。
第3話予告では、津村が「人を殺した時点で、新しい人生を送る資格はない」と語っています。
この言葉は、自分が犯した罪を悔いているだけではなく、誰かから「過去を捨てて別の人生を生きること」を勧められた人物の言葉にも聞こえます。
津村が殺した相手や事件の経緯は、まだ明らかになっていません。
ただし、津村の事件と森沼ネクスタウンが無関係なら、ここまで町の異変を追う理由がありません。
津村は服役前から町の秘密を知っていたのか、出所後に自分の過去まで書き換えられる危険に気づいたのでしょう。
香坂はなぜ津村に寄り添っている?
香坂は刑事でありながら、津村を突き放さず、伊川との関係を追う彼を近くで見守っています。
津村に「伊川とは何の関係もない」と調査をやめるよう促す一方で、強制的に止めようとはしていません。
香坂は津村の過去を知るだけでなく、森沼ネクスタウンと津村をつなぐ事情まで把握している可能性があります。
香坂が津村を監視しているのか、守っているのかで、二人の関係は大きく変わります。
津村と伊川は過去に会っていた?
伊川は津村を見た瞬間、理由の分からない恐怖を覚えました。
その反応が伊川自身の記憶によるものとは限りません。
伊川の中に岡崎の記憶が入っているなら、津村を恐れたのも、岡崎または別の人物の記憶が反応した可能性があります。
つまり、津村が過去に関わっていた相手は現在の伊川ではなく、伊川の中に記憶を残した人物だったのかもしれません。
津村と伊川の関係をたどることは、津村の殺人事件だけでなく、伊川の本当の正体を知る手掛かりにもなりそうです。
森沼ネクスタウンは何をしている町?
ここまでの違和感をつなぐと、森沼ネクスタウンが住民の記憶と人生を管理している構図が浮かびます。
無料定期検診は記憶操作の入口だった?
伊川の異変は、老人ホーム「はるなぎ園」で無料定期検診を受けた直後から始まりました。
帰宅途中に津村を見た伊川は、断片的な記憶と激しい頭痛に襲われ、川へ転落しています。
頭痛が津村への恐怖だけで起きたなら、無料定期検診を直前に入れる必要はありません。
検診によって伊川の脳や記憶に何らかの処置が行われ、津村との接触をきっかけに別人の記憶が表面化したと考えられます。
伊川の中に岡崎の記憶が入っていたことからも、検診は健康管理ではなく、住民の記憶を読み取り、書き換えるために利用されているのでしょう。
オープニングと近所のやりとりが示す「作られた現実」
オープニングでは、画面上に数字や文字が流れ、虚ろな表情をした伊川が映ります。
私はこの演出から、映画『マトリックス』のように、現実だと信じている世界そのものが作られている不気味さを感じました。
さらに気になるのが、伊川が出勤するたびに繰り返される近所の人々とのやりとりです。
同じ場所に同じ住民が現れ、決められたような挨拶を交わす光景は、映画『トゥルーマン・ショー』で、周囲の人々が主人公のために用意された日常を演じている世界を思わせます。
第2話ラストでも、伊川が元の生活へ戻ると、近所の住民は何事もなかったようにいつものやりとりを始めました。
森沼ネクスタウンで操作されているのは、思い出の一部だけではありません。
妻、職場、友人、近所との関係まで書き換えられ、住民全員が新しく与えられた設定に従って生活しているように見えます。
森沼ネクスタウンは記憶を消す町ではなく、住民の役割と日常を組み直し、信じる現実そのものを作り直す町なのではないでしょうか。
町では人の人生が何度も入れ替えられている?
多田は伊川の身代わりとして、妻、家、仕事、人間関係を与えられていました。
伊川には岡崎の記憶が入り、顔は由梨の亡夫と瓜二つです。
さらに、香坂は津村に「新しい人生」を歩んでほしいと語っています。
これらが同じ仕組みにつながっているなら、森沼ネクスタウンでは、過去を失った人や罪を抱えた人に別人の人生を与えていることになります。
ただし、新しい人生を作るためには、元の持ち主や周囲の人間の記憶まで変更しなければなりません。
多田一人では成立せず、市原のように事情を一部知る人物や、記憶を管理する組織が町の中に存在するはずです。
伊川も今回初めて人生を奪われたのではなく、過去にも別人の顔・記憶・名前を組み合わせられていた可能性があります。
「平和な町」は人生交換を隠すための設定?
交番前の「事件・事故ゼロ」が更新され続ける一方で、伊川の周囲では追跡や襲撃が起きています。
さらに、当事者の記憶や役割まで書き換えられていることから、森沼ネクスタウンが消しているのは事件記録だけではありません。
事件の記録と関係者の人生を同時に作り直すことで、偽物の平和を維持していると考えられます。
マイ・フィクション3話の考察
第3話予告では、消されたはずの記憶、ピョートルの異変、津村が持つ書類が新たな鍵として示されています。
伊川はなぜ由梨を忘れた?
第3話予告では、由梨が「伊川さん!」と駆け寄っても、伊川は「どなた様ですか?」と答えています。
伊川が忘れたのは、単なる知人ではありません。由梨は、身元を失った伊川を助け、亡くなった夫と同じ顔を持つ彼を自宅へ招き入れた人物です。
さらに伊川は、由梨と行動したことで市原を訪ね、自分の記憶が岡崎のものだったと知りました。
つまり由梨との出会いは、伊川が自分の人生と記憶を疑い始める入口になっています。
森沼ネクスタウンにとって由梨は、伊川を再び真実へ近づける危険な存在です。
そのため多田にスタンガンで襲われた後、伊川からは由梨との記憶だけでなく、市原、岡崎、亡夫の遺影へつながる一連の記憶まで消されたと考えられます。
真弓との生活は元に戻ったのに、由梨だけを知らない。この食い違いからも、伊川の記憶はすべて消されたのではなく、町にとって都合の悪い部分だけを選んで消された可能性が高そうです。
記憶を消されても「知らない記憶」が浮かぶ理由
伊川は予告で、「まただ。知らない記憶が頭の中に浮かぶんだ」と苦しんでいます。
一度は日常へ戻されたものの、岡崎や別人の記憶までは完全に消せなかったようです。
これは、記憶操作が失敗したというより、伊川の中に複数人の記憶が重なっており、表面の記憶だけを書き換えても、奥にある記憶が再び浮かび上がっていると考えられます。
特に「まただ」という言葉から、伊川が知らない記憶に苦しむのは今回が初めてではありません。
現在の伊川正樹という人格自体が、過去に何度も記憶を入れ替えられて作られたものなのかもしれません。
倒れた鳥かごはピョートルの異変につながる?
予告では、自宅で鳥かごが倒れ、伊川がその前に立ち尽くしています。
ピョートルは、第1話・第2話を通して、作り直された伊川家の違和感を示してきました。
伊川の記憶では死んだはずなのに生きており、真弓にもなついていません。
第3話で鳥かごに異変が起きるなら、ピョートルが再び死ぬ、姿を消す、または以前とは違う行動を取る可能性があります。
ピョートルに触れたことで、伊川の中に埋め込まれた本来の記憶が呼び戻される展開も考えられます。
津村が由梨に見せる書類には何が書かれている?
第3話予告では、津村が由梨を訪ね、「話があります」と書類を渡しています。
書類を見た由梨は、「嘘……そんな……伊川さんが……」と衝撃を受けていました。
この書類には、伊川の身元を覆す情報が記載されている可能性があります。
考えられるのは、次の内容です。
- 伊川正樹がすでに死亡した人物として登録されている
- 伊川と由梨の亡夫が同一人物だった
- 伊川が津村の殺人事件に関係していた
- 伊川正樹という身元自体が作られたものだった
なかでも有力なのは、由梨の亡夫と現在の伊川をつなぐ記録です。
由梨は夫と同じ顔を見ても、伊川を別人として受け入れていました。ところが書類によって、二人が単に似ているだけではないと知らされたのではないでしょうか。
津村はなぜ「新しい人生」を拒むのか
香坂は津村に「あなたには新しい人生を歩いてほしい」と語ります。
しかし津村は、「人を殺した時点で、そんなの俺にはありません」と拒絶しています。
この会話は、単なる刑期後の更生について話しているようには聞こえません。
森沼ネクスタウンでは、罪や過去を抱えた人物から記憶を消し、別人の名前と人生を与えている可能性があります。
香坂は津村に、その仕組みを使って過去を捨てるよう勧めているのでしょう。
しかし津村は、自分が犯した罪を消し、何も知らない他人の人生を奪って生きることを拒んでいる。
津村は伊川を狙う殺人犯ではなく、町が行う人生の入れ替えを拒み、その正体を追っている人物に変わってきました。
まとめ
『マイ・フィクション』1・2話では、伊川の人生が多田に奪われただけでなく、伊川本人の中に岡崎という別人の記憶が入っていることまで判明しました。
多田は岡崎の記憶について知っており、市原へ口止めしています。しかし、妻・職場・友人・近所の記憶、写真、事件記録まで書き換えることを、多田一人で行うのは不可能です。
森沼ネクスタウンでは、誰かが住民の記憶と役割を管理し、都合の悪い事件や過去を消しながら、新しい人生を作っていると考えられます。
文鳥の反応、塚本さんの財布、伊川と真弓の写真は、作り直された世界に残ったわずかな綻びです。
伊川が取り戻した日常も、本当の人生ではなく、町によって再設定された「伊川正樹」という役割なのかもしれません。
第3話では、伊川の中に浮かぶ知らない記憶と、津村が由梨へ見せる書類によって、由梨の亡夫・岡崎・伊川をつなぐ真実が明らかになりそうです。

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