『一次元の挿し木』第3話では、石見崎明彦・七瀬京一・仙波佳代子が27年前のループクンド湖でつながっていたことが判明し、石見崎が過去の罪と向き合おうとしていたことも明らかになりました。
続く第4話では、謎の計画「ログゼロ」や新興宗教団体「樹木の会」が浮上。さらに悠は警察から、妹・紫陽について「もともと存在しない」と告げられます。
紫陽は本当に存在しなかったのか。それとも、悠の中に「妹・紫陽」の記憶が作られたのか。
この記事では、第3話と第4話の内容を振り返りながら、紫陽と唯の正体、牛尾と樹木の会の関係、京一・仙波佳代子・石見崎が隠してきた罪を考察します。
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ドラマ『一次元の挿し木』相関図
ドラマ『一次元の挿し木』は、七瀬悠を中心に、七瀬家、石見崎家、仙波家、週刊誌関係者、捜査関係者が複雑につながるミステリーです。
公式相関図が公開されたことで、悠と紫陽の義理の兄妹関係だけでなく、七瀬家や仙波家、石見崎明彦・石見崎唯との関係も見えやすくなりました。
特に、200年前の人骨と紫陽のDNAが一致するという謎は、家族関係や研究者たちのつながりと深く関わっていきそうです。
登場人物の関係性を先に知っておくと、物語の違和感や人物同士のつながりも追いやすくなります。

出典:読売テレビ『一次元の挿し木』公式サイト
登場人物の関係性やキャスト、原作、紫陽をめぐる基本情報は、相関図記事で詳しく整理しています👇

『一次元の挿し木』ネタバレあらすじ!200年前の人骨と紫陽の謎
まずは、1〜3話・4話で起きた事件と新たに浮上した人物の動きを整理します。
1〜3話あらすじ
遺伝子学を研究する大学院生・七瀬悠は、4年前の豪雨で行方不明になった義妹・紫陽が生きていると信じていました。
そんな悠は、恩師の石見崎明彦から、インドのループクンド湖で発掘された約200年前の人骨のDNA鑑定を依頼されます。しかし、鑑定された人骨のDNAは、紫陽のDNAと100%一致しました。
その後、石見崎教授は死亡し、人骨も研究室から盗まれます。さらに、教授の姪・石見崎唯から、教授の娘・石見崎真理も行方不明になったと知らされた悠は、唯と共に事件を調べ始めました。
二人は、発生生物学の世界的権威・仙波佳代子が事件に関わっていると疑います。一方、悠の義父で日江製薬社長の七瀬京一は、人骨の件から手を引くよう悠へ警告し、心療内科へ入院させようとしました。
週刊誌「東邦ジャーナル」の編集長・平間も、日江製薬を調べていた記者・小野寺の失踪を追います。石見崎教授の死、紫陽と200年前の人骨のDNA一致、仙波佳代子、京一、日江製薬が、ひとつの秘密でつながり始めました。
石見崎教授が残した手がかりや、京一・仙波佳代子・新橋郁恵への違和感は、1・2話考察記事で詳しく掘り下げています👇

4話あらすじ
牛尾に追い詰められた七瀬悠は、足に薬品をかけられながらも倉庫へ逃げ込み、なんとかその場を脱出します。
同じ頃、仙波佳代子は七瀬京一のもとを訪れ、「石見崎を殺したのはあなたよね」と問い詰めました。京一は石見崎を直接殺したことは否定しながらも、「私たちが殺したようなものだ」と告げます。
27年前、京一・仙波・石見崎はループクンド湖で発見された保存状態の良い人骨を使い、ある計画を始めていました。仙波は、計画の発端は京一の父・七瀬弓彦にあり、京一がすべてをなかったことにしようとしていると非難します。そして、謎の計画「ログゼロ」を早く消すよう京一へ迫りました。
悠は合流した石見崎唯から、27年前のループクンド湖で撮影された京一・仙波・石見崎の写真を見せられます。京一が以前、ループクンド湖について「聞いたことがある」としか答えなかったことから、悠は義父が過去を隠していたと確信しました。
一方、京一の秘書・前原は、閉鎖された日江製薬の応用技術センターでログゼロに関する資料を処分し始めます。春日陽子もログゼロの記録が完全に消えているか確認を求め、牛尾や小野寺洋一の死について京一へ問いかけました。
東邦ジャーナル編集長の平間孝之は、中国企業・新明阿の香島と接触します。香島は、日江製薬の決算書類に不自然な研究開発費があり、その問題を京一へ指摘した直後から証拠隠滅が始まったと明かしました。
悠と唯は仙波の家に続いて石見崎邸を調べようとしますが、多田刑事たちに見つかり、商店街へ逃げ込みます。そこで悠は再び牛尾を発見しました。牛尾が薬品の入ったタンクを持って近づく中、逃げ惑う人々にぶつかられた唯は転倒します。
多田刑事が現場へ到着すると牛尾の姿は消え、悠が気づいた時には、そばにいたはずの唯もいなくなっていました。
平間は新興宗教団体「樹木の会」の施設へ潜入し、春日が信者たちへ語りかける姿を目撃します。その講堂には、牛尾と同じ顔に見える人物の大きな肖像画が掲げられていました。
警察へ連行された悠は、古川心療内科で器物を壊し、看護師にけがを負わせたとして取り調べを受けます。さらに警察は、石見崎真理が行方不明ではなく、石見崎教授の死後すぐに親戚へ保護されていたと悠へ伝えました。
そして多田刑事は、悠が捜し続けている紫陽について、京一への確認と戸籍調査を行った結果を告げます。
「あなたに妹はいません。もともと妹は存在していない」
悠は、これまで共に過ごしてきた紫陽の記憶を否定する言葉に、何も理解できないまま立ち尽くしました。
『一次元の挿し木』1・2話考察の答え合わせ|3・4話で何が判明した?
1・2話では、石見崎教授が悠へ人骨の鑑定を依頼した理由や、京一が悠を真相から遠ざけようとする意図、仙波佳代子と過去の研究との関係を考察しました。
第3話と第4話では、その仮説の多くが事実に近づく一方、真理と唯をめぐる前提は大きく崩れています。
石見崎教授は悠へ真相を託そうとしていた
石見崎教授は、ループクンドの骨を手に入れた後、仙波佳代子へ「罪と向き合う覚悟はあります」とメールを送っていました。
さらに、教授は生前の悠へ「科学はただ一つの答えを求め、秘密を暴く。嘘をつくのはいつも人間の方だ」と伝えています。
教授が悠を鑑定者に選んだ詳しい理由は、まだ明かされていません。しかし、DNAの一致をきっかけに、悠を過去の罪へ導こうとしていたという考察はさらに強まりました。
石見崎教授は事件へ巻き込まれただけの被害者ではありません。27年前の計画に関わった当事者であり、自らの罪を告白しようとしたため、口を封じられたと考えられます。
京一はなぜ悠を真相から遠ざけていた?
京一は、ループクンド湖について知っていたにもかかわらず、悠には「聞いたことがある」としか答えていませんでした。
その裏では春日陽子へ連絡し、人骨と紫陽のDNAが一致したのは、石見崎教授がサンプルへ細工したからだと説明しています。
さらに、悠を心療内科へ入院させようとし、警察に拘束された後も、秘書の前原を使って動向を確認していました。
京一が悠を守るだけでなく、ログゼロと紫陽の真相から切り離そうとしていたことは、ほぼ確定です。
ただし、悠を襲った牛尾については、京一自身も把握していなかったように見えました。京一はログゼロを隠す側ですが、牛尾を直接動かしている人物とは限りません。
仙波佳代子は殺人に関わった?過去の共犯者であることは判明
石見崎教授の死亡当日に自宅を訪れていた人物は、仙波佳代子でした。
しかし仙波は、石見崎教授の死への関与を否定しています。一方、京一は仙波へ「あんたも共犯だ」と告げ、27年前に発見された骨を使うと言い出したのは仙波だったと振り返りました。
1・2話では、仙波を教授殺害の犯人とは断定せず、過去の秘密を共有する人物と考察していました。
仙波が過去の秘密を共有する人物という見方は当たっていますが、石見崎教授の死へ直接関与したかどうかは、まだ確定していません。ただし、仙波自身もログゼロの始まりに関わり、石見崎教授と共に罪を背負う当事者だったことは判明しました。
新橋郁恵は骨を春日陽子へ運んでいた
研究室から盗まれたループクンドの骨は、春日陽子の手元にありました。
1・2話で考察したとおり、新橋郁恵は骨を自分の研究へ使う黒幕ではなく、春日へ渡す運搬役だったと判明しています。
新橋はその後も、悠が牛尾に襲われた情報を春日へ伝えていました。
新橋は研究室側から悠を監視し、春日へ情報と人骨を届ける役割を担っています。
黒いコートの男は口封じの実行役だった
黒いコートの男は牛尾と名乗り、小野寺洋一のスマホを使って平間孝之を脅しました。
さらに悠へ薬品を浴びせ、紫陽を見つけても「私が食い殺す」と告げています。
小野寺の白骨遺体からは、石見崎教授に使われた毒と同じ成分が検出されたとみられ、牛尾は薬品の入ったタンクを持ち歩いていました。
1・2話で考察した、秘密へ近づいた人物を消す実行役という見方は当たっています。
しかし第4話では、樹木の会の講堂に牛尾と同じ顔の肖像画が掲げられていました。牛尾は単なる殺し屋ではなく、ログゼロや樹木の会そのものを象徴する存在です。
唯はなぜ真理が行方不明だと嘘をついた?
石見崎唯は、叔父・石見崎明彦の死後、娘の真理も行方不明になったと悠へ伝えました。
しかし第4話で、真理は教授の死後すぐに親戚のもとへ保護されていたことが判明します。警察が所在を確認できている以上、真理は行方不明ではありませんでした。
石見崎家の親族である唯が、真理の保護先を本当に知らなかったとは考えにくいでしょう。
唯は「真理を捜したい」という嘘を使い、悠へ近づいたことになります。
唯が必要としていたのは、真理を捜す協力者ではありません。
ループクンドの人骨を鑑定し、紫陽のDNAとの一致を知る悠を、石見崎教授が残した秘密へ導くことが目的だったと考えられます。
実際、唯は悠と行動を共にしながら、京一を疑うよう促し、仙波佳代子や27年前のループクンド湖へたどり着かせました。
さらに不自然なのが、商店街での突然の消失です。
唯は逃げ惑う人にぶつかられて転倒し、悠のすぐそばにいました。しかし、多田刑事が現場へ到着し、悠が我に返った時には姿を消しています。
牛尾から逃げただけなら、後から悠へ連絡すれば済みます。それでも姿を消したのは、警察に身元を確認されると困る理由があるからではないでしょうか。
唯はまだ、警察が悠へ「真理は無事だ」と伝えたことを知らない可能性もあります。
その場合、唯は再び真理が行方不明だという前提で悠の前へ現れるはずです。そこで悠が真理の無事を告げれば、唯がなぜ嘘をついたのか、何を知っているのかが一気に浮かび上がります。
唯は悠の味方に見えますが、その正体は、真相へ導くために嘘をついた謎の案内人です。
ログゼロとは何か?27年前のループクンド湖で始まった計画
第4話で初めて名前が明かされた「ログゼロ」は、27年前に七瀬京一・仙波佳代子・石見崎明彦が関わった研究計画です。
ループクンド湖で保存状態の良い人骨が発見された際、仙波は「これを使う」と京一へ告げ、京一は石見崎に準備をさせていました。
しかし、この計画を最初に動かしたのは3人ではありません。
仙波は京一へ、ログゼロは京一の父・七瀬弓彦が計画したものだと告げています。日江製薬の応用技術センターも、弓彦が亡くなった年に突然閉鎖されていました。
日江製薬では、先代の時代に新薬開発費が異常に使われていたほか、違法な臨床試験や人体実験の噂も残っています。
京一は父が残した計画の後始末を引き受け、春日陽子や秘書の前原にログゼロの記録を完全に消すよう命じていました。
ログゼロは、単なる新薬開発ではなく、ループクンドの人骨を使って人間の遺伝情報や身体を作り替える計画だったと考えられます。
タイトルにある「挿し木」は、植物の一部から元と同じ遺伝情報を持つ個体を増やす方法です。
紫陽のDNAと約200年前の人骨が一致したことが偶然ではないなら、ログゼロでは人骨の遺伝情報を使い、同じ性質を持つ人間を生み出そうとしていたのではないでしょうか。
仙波が「ジュモクに取り込まれた」と京一から責められ、京一もまた「ジュモクとのつながりはあなたの方が古い」と言われていることから、ログゼロとジュモクは別々の存在ではありません。
研究計画としてのログゼロを支え、被験者や研究成果を管理してきた組織が「ジュモク」、その表向きの姿が新興宗教団体「樹木の会」だと考えられます。
石見崎教授は27年前の計画に参加しましたが、後になってループクンドの骨を取り戻し、「罪と向き合う覚悟はあります」と仙波へ伝えました。
石見崎教授が償おうとした罪とは、ログゼロによって誰かを生み出したことなのか。それとも、研究に失敗した人間を消したことなのか。
紫陽が「もともと存在しない」とされた理由も、ログゼロの正体が明かされればつながるはずです。
牛尾と樹木の会は何者?肖像画が示す異常なつながり
牛尾は、ループクンドの骨を追う悠の前に現れ、「君が妹を見つけたとしても、私が食い殺す」と脅しました。
さらに、薬品を使って悠を襲い、小野寺洋一のスマートフォンから平間孝之へ「すべて忘れろ」と警告しています。
牛尾は、秘密へ近づいた人物を消す実行役です。
しかし、第4話で平間が新興宗教団体「樹木の会」の施設へ入ると、講堂には牛尾と同じ顔に見える人物の大きな肖像画が掲げられていました。
その肖像画の前では、春日陽子が「樹木の会」の信者たちへ語りかけていました。
牛尾は単なる実行役ではなく、樹木の会とジュモクに深く関わる人物です。
肖像画の人物が牛尾本人なら、牛尾は現在の「樹木の会」で象徴的に扱われていることになります。
一方、肖像画が牛尾本人ではなく、同じ顔をした別人なら、ログゼロとの関係が疑われます。
ただし、肖像画がいつ描かれたのかは不明です。現時点では、牛尾が長期間姿を変えずに生きているとは断定できません。
また、仙波佳代子と京一は、新興宗教団体の正式名称ではなく「ジュモク」という言葉を使っていました。
京一は仙波へ「ジュモクに取り込まれていなければ、もっと違うことができた」と責め、仙波も「ジュモクとのつながりはあなたの方が古い」と言い返しています。
この会話から、ジュモクは単なる宗教団体の呼び名ではなく、ログゼロを引き継いだ組織、思想、または研究対象そのものだと考えられます。
表向きは新興宗教団体「樹木の会」、裏ではログゼロの成果を守り、秘密へ近づいた人間を牛尾に排除させる組織が「ジュモク」なのではないでしょうか。
春日陽子は新興宗教団体「樹木の会」で信者へ語りかけ、新橋郁恵からループクンドの骨を受け取っていました。また、京一とはログゼロの記録を完全に消す確認をしています。
春日は日江製薬の社員としては紹介されていませんが、京一・新橋・樹木の会をつなぐ接点にいる人物です。
ただし、春日がログゼロを続けたいのか、骨を隠したいのか、別の目的で利用したいのかはまだ不明です。
牛尾も京一の指示を受けずに悠を襲ったように見えるため、命令元は京一とは別にいると考えられますが、春日が直接命じたとは断定できません。
公式でも春日は「怪しい動きをする謎の女性」としか明かされておらず、日江製薬社員や樹木の会の役職者とは発表されていません。
京一は悠を殺そうとしている?隠蔽しながら守る義父の矛盾
悠は牛尾に襲われた直後、京一へ電話をかけ、「僕を殺す気ですか」と問い詰めました。
古川心療内科へ入院させようとしたのも、牛尾に襲わせたのも、ログゼロを調べる悠を止めるためだと疑ったのです。
しかし、悠が牛尾に殺されかけたと話した時、京一は驚き、何が起きたのかを聞き返していました。さらに、「悠にはまだ知らないことがある。会って話したい」と伝えています。
この反応を見る限り、牛尾へ悠の殺害を命じたのは京一ではありません。
一方で、京一が悠へ真実を隠し続けていることも間違いありません。
京一はループクンド湖の発掘に参加していたにもかかわらず、悠には「聞いたことがある」とだけ答えました。春日陽子には、石見崎教授がDNAサンプルへ細工したと説明し、前原にはログゼロの資料を完全に消すよう命じています。
京一は悠を殺そうとしているのではなく、ログゼロへ近づけば殺されると知っているため、強引に真相から遠ざけようとしています。
古川心療内科への入院も、悠を精神的に不安定な人物として処理する目的だけではなく、牛尾やジュモクから隔離する意味があったのではないでしょうか。
京一は石見崎教授の死について、仙波佳代子へ「私たちが殺したようなものだ」と語りました。
27年前にログゼロへ関わり、その後始末を続けてきた京一は、計画へ近づいた人間がどうなるかを知っています。石見崎教授も小野寺洋一も殺され、今度は悠まで牛尾に狙われました。
だからこそ、京一は悠へ「これ以上首を突っ込むな」と警告し、強制入院という手段まで使ったのでしょう。
ただし、それを純粋な愛情だけで説明することはできません。
京一が守ろうとしているのは、悠の命だけではなく、七瀬弓彦が始めたログゼロ、日江製薬、そして自分が27年間隠してきた罪でもあります。
京一は悠を守っている。しかし同時に、悠から真実を奪い、自分たちの罪も守っています。
単純な黒幕ではないものの、味方とも言い切れません。悠を守るために何を隠し、紫陽についてどこまで知っているのか。京一が真実を話さない限り、悠への保護は支配と変わらないままです。
紫陽はなぜ存在しない?悠の記憶そのものが作られた?
第4話の最後、多田刑事は悠に対し、京一への確認と警察の調査を踏まえて、紫陽についてこう告げました。
「あなたに妹はいません。もともと妹は存在していない」
これは、紫陽が死亡したという意味ではありません。
悠がこれまで捜し続けてきた「義妹・七瀬紫陽」は、最初からこの世に存在していなかったという意味です。
ここで疑うべきなのは、紫陽の戸籍が消されたことではなく、悠が記憶している人生そのものです。
これまで紫陽が登場した場面の多くは、悠の回想として描かれていました。
悠は紫陽と同じ家で暮らし、母・楓の死後には思いを告げ、キスを交わしたと記憶しています。紫陽が楓から渡されたナイフを見せ、「怪物から自分を守るため」と話した場面もありました。
しかし、これらがすべて悠の記憶なら、実際に起きた出来事とは限りません。
悠は過去に経験した強いトラウマから、実在した誰かとの記憶を「妹・紫陽との思い出」として作り替えたのではないでしょうか。
特に引っかかるのが、紫陽と悠の関係です。
二人は兄妹として育った一方、悠は紫陽へ恋愛感情を告白しています。紫陽が本当は妹ではなく、ログゼロに関係する別の女性だったなら、悠がその人物を「妹」として記憶し直した理由があるはずです。
また、紫陽の遺体がないまま行われた葬儀も不自然です。
紫陽が最初から存在しなかったなら、あの葬儀は本物の葬儀ではありません。
京一が悠のために空の棺を用意し、紫陽の死を受け入れさせようとしたのか。あるいは、葬儀そのものも悠の中で作られた記憶なのか。
どちらにしても、京一は悠が紫陽を信じていることを以前から知っていました。
京一が悠を心療内科へ入院させようとしたのも、ログゼロを追わせないためだけではなく、悠の記憶や幻覚が再び悪化することを恐れたからとも考えられます。
さらに、人骨と一致した「紫陽のDNA」も、紫陽の実在を証明するものではありません。
鑑定されたのは、紫陽のものとして保管されていたDNAサンプルです。そのサンプルが誰から採取されたのか、なぜ悠が持っていたのかは、まだ明らかになっていません。
石見崎教授がサンプルをすり替えたのなら、教授は存在しない紫陽を利用して、悠へ何かを知らせようとしたことになります。
紫陽の姿をした誰かは実在したとしても、悠が信じる「義妹・七瀬紫陽」は存在していなかった。
悠は誰を紫陽だと思い込み、何を忘れるために妹という存在を作ったのか。
紫陽の正体を解く鍵は、ログゼロだけではなく、悠が失った過去の記憶にあります。
石見崎・京一・仙波佳代子が犯した罪とは?
第4話で京一は、石見崎教授の死について仙波佳代子から問い詰められ、「私たちが殺したようなものだ」と答えました。
さらに京一は、仙波には野心があり、自分には役目があり、石見崎教授は巻き込まれただけだったと語っています。
27年前、ループクンド湖で保存状態の良い人骨が発見されると、仙波は「これを使う」と決め、京一は石見崎教授へ準備を命じました。
この場面から、ログゼロは偶然始まった研究ではありません。
仙波は人骨の研究価値に目をつけ、京一は父・七瀬弓彦が計画した研究を実行し、石見崎教授は技術者として協力したと考えられます。
3人が犯した罪は、約200年前の人骨に残された遺伝情報を利用し、違法な研究や臨床試験へ踏み込んだことではないでしょうか。
日江製薬には、先代の時代に新薬開発費が異常に使われ、違法な臨床試験が行われていたという噂も残っています。
ログゼロによって何が生み出されたのかは、まだ明かされていません。
ただし、紫陽のDNAと約200年前の人骨が一致し、牛尾と同じ顔の肖像画が樹木の会に掲げられていた以上、単なる薬の研究では説明できません。
人骨に残された遺伝情報から、同じDNAを持つ人間を生み出すこと。それがログゼロの目的だった可能性があります。
仙波は研究者として成果を求め、京一は七瀬家と日江製薬の役目として計画を進め、石見崎教授は科学者として実験に手を貸した。
しかし、計画の結果として生まれた人間が傷つき、消され、存在そのものまで否定されたのなら、3人の罪は研究を行ったことだけではありません。
もしログゼロによって人間が生み出され、その命を成果や失敗作として扱ったのなら、それこそが3人の最大の罪です。
石見崎教授は、その罪に耐えられなくなったのでしょう。
教授はループクンドの骨を再び手に入れ、仙波へ「罪と向き合う覚悟はあります」と伝えました。そして悠に骨を鑑定させ、紫陽のDNAとの一致を明らかにしています。
石見崎教授は、ログゼロの真実を告白するだけでなく、研究によって消された存在を、科学の力で証明しようとしていたのではないでしょうか。
一方、京一はログゼロの記録を消し、応用技術センターの資料まで焼却させています。
仙波も春日からログゼロについて口外しないよう確認され、「要求にはすべて応えた」と話していました。
石見崎教授は、過去の罪を公にしようとしていました。一方、京一はログゼロの記録を消し、仙波も春日陽子から口外しないよう確認されています。
ただし、仙波は京一へ「自分だけが正しいと思うな」と怒りを向けていました。ログゼロをめぐる判断を京一が一人で決め、「すべてなかったこと」にしようとする姿勢へ反発しています。
石見崎は告白しようとし、京一は消そうとし、仙波は京一だけで結論を決めることに反発している。
同じ罪を背負った3人が、27年後に別々の立場へ分かれたことが、現在の殺人事件と悠の運命を動かしています。
『一次元の挿し木』第5話予告|京一が作った「望む家族」とは?
警察から「紫陽はこの世に存在しない」と告げられた七瀬悠は、取り調べを終えて釈放されます。
翌日、悠のもとを義父・七瀬京一が訪れました。悠があらためて紫陽の存在を問いただすと、京一は予告の中で衝撃的な言葉を口にします。
「私に娘はいない。自分が望む家族を作ったんだ」
京一の言う「望む家族」が、悠・楓・紫陽を指しているなら、七瀬家は最初から自然にできた家族ではなかったことになります。
紫陽を悠が頭の中だけで作り上げたのではなく、京一が何らかの目的で紫陽を含む家族関係を作り、その事実を悠に信じ込ませていた可能性も出てきました。
予告ではさらに、「私は初めからなかったことになってて、誰も私のことを覚えていない」という声に対し、悠が「大丈夫、僕だけは忘れないから」と答える場面も描かれています。
この声の主が紫陽なら、紫陽は最初から存在しなかったのではなく、実在していたにもかかわらず、周囲の記憶や記録から消された人物という新たな見方が生まれます。
一方、平間孝之は石見崎唯と接触し、27年前に石見崎明彦と仙波佳代子が関わった研究について話を聞きます。
唯が平間と会うことから、唯自身が存在しないという説は外れました。
商店街で突然姿を消したのも、不思議な力で消えたのではなく、警察から身を隠すために自分で立ち去ったと考えられます。
ただし、真理が行方不明だと悠へ嘘をついた理由は残ったままです。唯がどこまでログゼロを知り、何の目的で悠を真相へ導いているのかは、引き続き大きな謎です。
平間は日江製薬と新興宗教団体「樹木の会」のつながりを疑い、取材を装って施設へ乗り込みます。そこで、信者たちの前で語っていた春日陽子とついに対面します。
予告で語られる「すべてはループクンドの骨から始まった」という言葉からも、第5話ではログゼロ、樹木の会、七瀬家が作られた理由が一本につながり始めそうです。
第5話で問われるのは、紫陽が存在したかどうかではなく、誰が紫陽を“存在しなかった人物”に変えたのかです。
『一次元の挿し木』原作小説はある?
『一次元の挿し木』には、松下龍之介さんによる同名小説の原作があります。
原作は、第23回『このミステリーがすごい!』大賞で文庫グランプリを受賞した作品です。
200年前の人骨と、4年前に失踪した紫陽のDNAが一致する謎は、原作でも物語の中心となっています。ドラマにはオリジナルの人物や展開もあるため結末が同じとは限りませんが、原作小説では人骨と紫陽をめぐる真相を先に確認できます。
まとめ|紫陽はなぜ存在しないのか
『一次元の挿し木』第3話・第4話では、石見崎明彦・七瀬京一・仙波佳代子が27年前のループクンド湖でつながり、謎の計画「ログゼロ」に関わっていたことが明らかになりました。
石見崎教授は過去の罪と向き合おうとし、京一はログゼロの記録を消そうとしています。仙波佳代子もまた計画の当事者ですが、京一がすべてを一人で決める姿勢には強い怒りを向けていました。
一方、牛尾は秘密へ近づいた人物を消す実行役に見えます。新興宗教団体「樹木の会」に牛尾と同じ顔の肖像画が掲げられていたことで、牛尾とジュモクの深い関係も浮上しました。
また、真理は行方不明ではなく、親戚のもとで無事に保護されていました。真理が行方不明だと悠へ伝えた唯は、最初から別の目的で悠へ近づいたことになります。
そして最大の謎は、警察が悠へ告げた「紫陽はこの世に存在しない」という言葉です。
紫陽は悠が作り上げた存在なのか。それとも、誰かによって“存在しなかった人物”に変えられたのか。
第5話予告では、京一が「自分が望む家族を作った」と語っています。
七瀬家そのものがログゼロによって作られた家族だったのなら、紫陽の謎は悠の記憶だけではなく、京一が隠してきた過去にあります。

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