Netflix韓国ドラマ『なりすましの鼠』が、2026年8月28日から独占配信されています。
もしある日、自分の指紋でスマホが開かなくなり、名前も財産も、ついには「自分が自分である証拠」まで失ってしまったら――。
『なりすましの鼠』は、正体不明の“鼠”に人生を奪われた小説家ムンジェが、自分の人生を取り戻すためにその正体を追うミステリー・スリラーです。
しかも物語のモチーフになっているのは、「人間の爪を食べたネズミが、その人間に化ける」という韓国の伝承。
この記事では、『なりすましの鼠』のあらすじやキャスト、原作、「鼠」が意味するものから、“鼠”の正体や最終話の結末までネタバレありで紹介します。
実際に全10話を視聴して感じた、8話・9話から最終話へつながるどんでん返しについても感想を交えて紹介します。
『なりすましの鼠』のあらすじ
主人公ムンジェは、ペンネームで小説を書きながら、何年も家にこもって暮らしている小説家です。
人との接触を避け、世間からほとんど姿を消したように生活していたムンジェの日常に、突然異変が起こります。
スマートフォンが自分の指紋を認識しない。
これまで使っていたパスワードも通らない。
さらに、自分と外の世界をつないでいたものが次々と失われていきます。
そこでムンジェは、自分の名前や身分、財産を奪い、自分になりすましている正体不明の存在“鼠”がいることを知ります。
しかし、長く社会から離れていたムンジェには、自分こそが「本物」だと証明することさえ簡単ではありません。
人生を奪われた本人が「偽物」にされ、人生を奪った側が「本物」として生きている。
ムンジェは自分の人生を取り戻すため、かつて自分を追っていた高利貸しノジャに助けを求めます。
そこに“鼠”を追う刑事スンヨンも加わり、それぞれ異なる目的を持った3人の追跡が始まります。
「鼠」の意味は?韓国の「爪を食べたネズミ」がモチーフ

『なりすましの鼠』を理解するうえで重要なのが、韓国に伝わる「爪を食べたネズミ」の話です。
人間が切って捨てた爪をネズミが食べると、そのネズミが爪の持ち主と同じ人間の姿になる――という伝承です。
ドラマでは、この不気味な昔話を現代の「なりすまし」に置き換えています。
顔や名前だけではありません。
身分、財産、人間関係まで奪われてしまえば、「本物」と「偽物」を何で証明するのか。
『なりすましの鼠』で本当に怖いのは、偽物が現れることより、本物の方が偽物にされてしまうことです。
昔話のネズミを、デジタル社会の身分や個人情報と結び付けた設定が、本作最大の特徴になっています。
『なりすましの鼠』ネタバレ|“鼠”の正体と結末
ここからは、『なりすましの鼠』全10話の結末まで触れます。
序盤では、名前も財産も奪われたムンジェが完全な被害者に見えます。
しかし8話、9話あたりから、その見方が少しずつ崩れ始めます。
そして最終話で明らかになるのは、ムンジェは人生を奪われた被害者である一方、過去には他人の人生を奪った側でもあったという事実でした。
“鼠”の正体はユミン
ムンジェになりすまし、名前や財産を奪っていた“鼠”の正体はユミンでした。
ユミンがここまでの復讐をした理由は、単なる個人的な恨みではありません。
過去にムンジェがネット上へ書き込んだ内容によって恋人ミニョンの人生は大きく崩れ、さらにユミン自身も、小説のアイデアや作品、作家としての未来までムンジェに奪われていました。
自分の作品を世に出してミニョンを支えようとした時には、すでにその作品がムンジェ名義で発表されていたのです。
ユミンは、ムンジェに奪われたものを一つずつ奪い返すように、今度はムンジェ自身の名前も財産も人生も奪っていきます。
序盤ではムンジェが一方的な被害者に見えていましたが、ユミンの過去が明らかになることで、“鼠”によるなりすましの意味そのものが大きく変わっていきます。
ムンジェは被害者ではなく、過去には加害者だった
最終話で最も大きく印象が変わるのがムンジェです。
ムンジェは大学生ではありませんでした。
大学の文学サークルに学生になりすまして入り込み、そこでユミンとミニョンに出会います。
ムンジェはミニョンに惹かれますが、実際にはミニョンとユミンは恋人同士でした。
さらにムンジェは、ネット上にミニョンについて事実と嘘を混ぜた内容を書き込みます。
その出来事をきっかけにミニョンの人生は大きく崩れ、自殺未遂にまで追い込まれていきます。
一方のユミンは、ミニョンを支えるために自分の作品を世に出そうとします。
しかし、その作品はすでにムンジェによって奪われ、ムンジェ名義の小説として世に出ていました。
人生を奪われた被害者だと思っていたムンジェ自身が、かつてユミンの人生と才能を奪っていた。
ここで、それまでの物語の見え方が一気にひっくり返ります。
ノジャはユミンがムンジェに放った“猫”だった
ユミンはムンジェ名義でノジャから金を借り、ノジャがムンジェを追う状況を作ります。
つまり、“鼠”であるユミンがムンジェを追い詰めるために放った“猫”がノジャでした。
しかしノジャはムンジェを殺すことなく、次第に一緒に“鼠”を追うようになります。
最初は金を取り戻すためだけに動いていたノジャとムンジェですが、最後には完全な友情とは言えないまでも、どこか心が通じたような関係になっていました。
スンヨンが事件に巻き込まれた理由
スンヨンも偶然事件に関わったわけではありませんでした。
スンヨンは幼い頃、ムンジェの家族と深く関わっており、「チェ・ムンジェ」という名前そのものにも過去の因縁があります。
ユミンはその過去まで掘り起こすようにスンヨンを事件へ引き込み、ムンジェがこれまで忘れていた自分自身の過去と向き合う状況を作っていました。
ユミン最後の復讐は『なりすましの鼠』下巻だった
ユミンの復讐は、自分が死んだことで終わりませんでした。
ユミンがムンジェとして出版した小説『なりすましの鼠』は、本来上下巻で刊行される予定でした。
上巻は世に出て大きな反響を呼びます。
しかし、問題は下巻です。
ムンジェは自分で続きを完成させることができません。
しかも下巻には、ムンジェが隠してきた過去につながる内容が残されています。
出せば自分自身を追い詰める。
しかし出さなければ、作家として期待されている『なりすましの鼠』を完成させられない。
ユミンは最後に、ムンジェから“作家としての未来”まで奪い返していたのです。
ムンジェは生き残り、自分の名前も取り戻しました。
それでも、以前のような人生に戻ることはできません。
ユミンが残した“鼠”は、最後までムンジェの人生から消えませんでした。
『なりすましの鼠』キャスト・登場人物
『なりすましの鼠』では、ムンジェを中心に、それぞれ異なる目的で“鼠”を追う人物たちが物語を動かします。

ムンジェ役|リュ・ジュンヨル
ムンジェは、人との関わりを避け、長年家にこもって生きてきた小説家です。
演じるのはリュ・ジュンヨルさんで、代表作は『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』『The 8 Show ~極限のマネーショー~』などです。
ムンジェはある日突然、名前も身分も財産も失い、自分の人生そのものを“鼠”に奪われます。
社会との接点が少なかったことが、逆に「自分が本物だ」と証明できない状況を生み出してしまいます。
人生を奪われたムンジェが、外の世界へ出て“鼠”を追い始めることが物語の中心です。

ノジャ役|ソル・ギョング
ノジャは、高利貸しでありながら私立探偵事務所も営む人物です。
演じるのはソル・ギョングさんで、代表作は『殺人者の記憶法』や『キル・ボクスン』です。
過去には、借金を返さないまま姿を消したムンジェを追っていました。
ところが3年後、突然現れたムンジェから「自分の人生を奪った鼠を探してほしい」と頼まれます。
最初は失った金を取り戻すことが目的だったノジャも、次第に“鼠”をめぐる事件に巻き込まれていきます。
ムンジェにとって味方なのか、それとも金のために動いているだけなのか。
簡単には信用できないノジャとの関係も、本作の緊張感を強めています。

スンヨン役|イ・キュヒョン
スンヨンは、“鼠”を追う刑事です。
演じるのはイ・キュヒョンさんで、代表作は『刑務所のルールブック』『ハイバイ、ママ!』などです。
人生を取り戻したいムンジェ、失った金を取り戻したいノジャとは違い、スンヨンは事件を追う刑事という立場から“鼠”に迫っていきます。
目的の違う3人が同じ“鼠”を追うことで、誰を信じていいのか分からない追跡劇へと発展していきます。
『なりすましの鼠』の原作はウェブトゥーン『들쥐』
『なりすましの鼠』は、ルドビコ(Ludovico)による韓国ウェブトゥーン『들쥐(野ネズミ)』を原作としています。
原作はカカオウェブトゥーンで配信されているホラー・スリラー作品です。
ドラマの演出は『呑金/タングム』『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』などを手掛けたキム・ホンソン監督。
脚本は『模範家族』などを手掛けたイ・ジェゴンさんが担当します。
『なりすましの鼠』はNetflixで配信中|全10話
『なりすましの鼠』は、2026年8月28日(金)からNetflixで独占配信されています。
Netflix公式では全10話が公開されており、現在は最終話まで視聴できます。
『なりすましの鼠』は全10話のリミテッドシリーズです。
配信前は話数が正式に確認できませんでしたが、配信開始後にNetflix公式ページで全10話であることが確認できました。
『なりすましの鼠』感想|被害者だと思ったムンジェがひっくり返る面白さ
『なりすましの鼠』は、単純な復讐劇ではありませんでした。
序盤は人生を奪われたムンジェを完全な被害者として見ていましたが、8話、9話あたりから「本当にそうなのか?」という違和感が少しずつ生まれ、最終話で見事にひっくり返されます。
恋人を奪われた恨みだけではなく、才能も作品も未来も奪われていたユミン。さらにスンヨンやノジャまでつながっていく伏線の多さには驚かされました。
複雑で、一度見ただけではすべて覚えきれないほどですが、だからこそ最後まで見た時の「あれもこれもつながっていたのか」という面白さがあります。
被害者だと思っていた主人公が、実は誰かの人生を奪っていた側だった。
この反転が、『なりすましの鼠』で一番面白かったところです。
まとめ
『なりすましの鼠』は、人生を奪われたムンジェが“鼠”を追う物語だと思わせながら、最終話でその見方を大きくひっくり返すミステリー・スリラーでした。
序盤ではムンジェが完全な被害者に見えますが、過去をたどると、大学生になりすましてサークルへ入り、ミニョンの人生を狂わせ、さらにユミンの作品まで自分のものとして世に出していたことが明らかになります。
人生を奪われた被害者だと思っていたムンジェ自身が、かつて他人の人生を奪っていた。
さらにノジャを“猫”として放った仕掛けや、スンヨンの過去、『なりすましの鼠』下巻までつながっていく構成も見事でした。
ムンジェは最後まで生き残りましたが、ユミンが残したものによって、以前のような作家人生へ戻ることはできません。
単純な復讐劇ではなく、「本物と偽物」「被害者と加害者」が最後まで入れ替わり続けるところが、『なりすましの鼠』の一番面白いところでした。

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