『Tシャツが乾くまで』1・2話考察|樹生はなぜあずさを嫌いになりたい?

樹生は、あずさと充が不倫していた決定的な証拠を持っていません。それでも最初から「不倫していた」と言い切ったのは、亡くなった妻を愛し続ける苦しさから逃れるためでした。

喫茶店を出たあとに蘇ったのは、あずさから「本当に好きだよね、ちょうどいいものが」と突き放された夜。

樹生は以前から、あずさが自分との結婚生活で満たされていないことを感じていたのです。

この記事では、樹生がなぜあずさを嫌いになりたかったのか、第3金曜日に会っていたあずさと充の関係、さらに樹生へ充の匂いを求めた咲子の感情まで、1話・2話の描写から考察します。

目次
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『Tシャツが乾くまで』公式相関図

咲子の夫・充はバス事故後に行方不明となり、樹生の妻・あずさは死亡しました。

第2話では、あずさと充が毎月「第3金曜日」に会っていたことが判明し、咲子と樹生は2人の関係を調べ始めます。

出典:TBS「Tシャツが乾くまで」

登場人物の詳しい役柄や作品情報は、相関図・あらすじ記事で整理しています。

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『Tシャツが乾くまで』第1話ネタバレあらすじ

『Tシャツが乾くまで』第1話では、咲子と樹生がコインランドリーで偶然出会います。

その日、咲子の夫・充と、樹生の妻・あずさは同じ高速バスに乗っていましたが、バス事故によってあずさは死亡し、充は行方不明となりました。

似た境遇となった咲子と樹生は連絡を取り合うようになりますが、樹生は咲子に「あずさと充は不倫していた」と告げます。

さらに、2人が毎月「第3金曜日」に会っていた疑いも浮上しました。

第1話のラストでは、夫を信じ切っていた咲子と、最初から不倫を確信していた樹生の間に、決定的な亀裂が生まれています。

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『Tシャツが乾くまで』第2話ネタバレあらすじ

樹生は咲子に、「あなたの夫と僕の妻が不倫してますよ」と言い切ります。

樹生が目撃したのは、あずさと充が毎月「第3金曜日」にコインランドリーで会い、親しげに話していた姿でした。

5月の第3金曜日、忘れ物を取りに自宅へ戻った樹生は、晴れているのに洗濯物が干されていないことを不審に思います。

その後、コインランドリーであずさと充を目撃し、別れ際に「また第3金曜日に」と約束する言葉を聞きました。

翌月もあずさに内緒で休みを取り、6月の第3金曜日に2人が会っていたことを確認します。

ただし、2人がホテルやどちらかの家へ向かった事実はありません。

それでも咲子は、充とあずさは友人だったと信じようとします。しかし、樹生が見せたバス車内の動画には、事故当日に親しげに話す2人の姿が映っていました。

家族に行き先を伝えず、毎月同じ日に会っていた2人。咲子も、不倫疑惑を完全には否定できなくなります。

樹生は、あずさに不倫していてほしいような言い方をしていると自覚し、「妻を嫌いになりたいのかもしれない」と本音を漏らしました。

咲子は、充が不倫するはずはないと反発しながらも、2人で事実を調べ、充が帰ってきた時に疑いを晴らそうと提案します。

咲子と樹生は、充の喫茶店「ひこうき」を訪れ、店員の直人に充の行動を尋ねました。

直人は、前年12月に充を飲みに誘った際、「金曜日は先約がある」と断られたことを思い出します。

さらに、充があずさに妻には言えない愚痴を話していたことも明かし、2人の関係が事故の半年以上前から続いていた疑いが強まりました。

次に訪れた古書店では、あずさが不倫を題材にした三島由紀夫の『愛の渇き』を読んでいたことが判明します。

あずさは生前、「夫に言えないことはない。でも、聞かれないから言っていないことはある」と店主に語っていました。

一方、直人は再び喫茶店を訪れた樹生に、「咲子さんのこと好きなんですか?」と攻撃的な言葉をぶつけます。

咲子と樹生が近づくことをけん制する直人に対し、樹生も咲子への片思いをこじらせていると指摘し、2人は激しく言い合いました。

喫茶店を出た樹生の脳裏には、あずさとの夫婦関係に残された苦い記憶が蘇ります。

その頃、咲子の家に虫が現れ、樹生が退治しました。

咲子は樹生から漂うタバコの匂いが充と同じだと気づき、背丈やシャンプーの匂いまで充に重ねて、樹生の胸元へ頭を寄せます。

樹生も咲子を抱き寄せようとしますが、その瞬間、咲子のスマートフォンが鳴りました。

画面に表示されていたのは、長野県警からの着信でした。

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樹生はなぜあずさを嫌いになりたい?

樹生があずさと充の不倫を決めつけたのは、決定的な証拠を持っていたからではありません。

樹生が実際に見たのは、2人が毎月第3金曜日にコインランドリーで会い、親しげに話していた姿だけです。ホテルへ入ったところも、どちらかの家へ向かったところも確認していません。

それでも樹生が最初から「不倫していた」と言い切ったのは、亡くなったあずさを愛したまま失う苦しさを、裏切られた怒りへ変えたかったからです。

あずさが不倫していたと分かれば、樹生は妻を責められます。悲しみだけを抱え続けるのではなく、「裏切られた夫」として怒り、あずさを嫌いになる理由を持てるのです。

喫茶店を出たあと、樹生はあずさとの夜を思い出していました。

あずさが樹生を求めたにもかかわらず、樹生は妊娠や出産時期を気にし、避妊具を買いに行こうとします。そこであずさは、「本当に好きだよね。ちょうどいいものが」と突き放しました。

この回想から、樹生は事故前から、あずさが自分との結婚生活で満たされていないことを感じていたと分かります。

だからこそ、あずさと充が親しげに話す姿を見た瞬間、樹生の中で「やはり妻は自分では満たせなかった」という疑いが強まりました。

樹生は不倫の証拠を探しているのではなく、自分があずさに選ばれなかった理由を探しています。

しかし、樹生は「不倫でも何でも、知らないことがあっても、生きて帰ってきてくれたらよかった」と、涙をこらえるように話しました。

この言葉で分かるのは、樹生が本当はあずさを嫌いになどなれないことです。

裏切られていたとしても、妻に知らない一面があったとしても、何より生きていてほしかった。

あずさを責める言葉を並べながらも、樹生が抱えているのは怒りではなく、もう二度と戻らない妻への深い愛情でした。

「あずさを嫌いになりたい」という言葉は、愛している妻を失った現実に耐えられない樹生の、悲痛な強がりだったのです。

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咲子はなぜ樹生に充の匂いを求めた?

第2話のラストで、咲子は樹生から漂うタバコの匂いに反応しました。

樹生が吸っていたのは、充と同じ銘柄のタバコです。咲子は樹生の胸元に顔を近づけ、吸ってから少し時間がたった匂いこそ、自分が探していた充の匂いだと気づきます。

さらに咲子は、樹生の背丈が充と同じくらいであることや、シャンプーの匂いまで似ていることを確かめ、胸元へそっと頭を預けました。

咲子が求めていたのは、樹生自身ではなく、樹生の体に残っていた充の気配です。

充は死亡したと確認されたわけではなく、今も行方不明です。生きて帰ってくると信じたい一方で、咲子はいつ終わるか分からない喪失の中に取り残されています。

写真や思い出だけでは埋められなかった充の体温や匂いを、偶然そばにいた樹生の中に見つけたことで、咲子の張り詰めていた感情が一気に崩れたのでしょう。

一方の樹生も、咲子を引き離しませんでした。咲子を抱き寄せようと両手を伸ばしたことから、樹生もまた、同じ傷を抱える咲子へ急速に惹かれ始めています。

ただし、これはまだ純粋な恋愛とは言えません。

咲子は樹生に充を重ね、樹生はあずさを嫌いになる理由を探す中で、同じ喪失を抱える咲子へ近づいています。

2人はお互いを見ているようで、実際には失った夫と妻の代わりを求めて寄り添い始めたのです。

その瞬間に長野県警から電話が入ったのは、2人が新しい関係へ進もうとしたところへ、充の行方という現実が再び割り込んできたことを示しています。

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直人はなぜ樹生に攻撃的だった?

直人の態度は、昼間と夜で明らかに変わっています。そこには、咲子への片思いと、充に対する嫉妬が重なっていました。

昼間に2人で訪れた時の直人の態度

咲子と樹生が一緒に喫茶店「ひこうき」を訪れた時、直人は比較的落ち着いて質問に答えていました。

充を飲みに誘った際、「金曜日は先約がある」と断られたことや、その出来事が前年12月だったことも明かしています。

さらに、充があずさに妻には言えない愚痴を話していたことまで伝えました。

この時の直人は、充の行動を知る証言者として振る舞っています。

ただし、咲子と樹生が並んで店を訪れた姿を見た時点で、直人の中にはすでに警戒心が生まれていたはずです。

直人は咲子への気持ちを抱えています。

だからこそ、妻を亡くした樹生が咲子と行動を共にしている状況を、素直には受け入れられなかったのでしょう。

夜に樹生へ見せた好戦的な態度

夜、1人で喫茶店を訪れた樹生に対し、直人は一気に攻撃的になります。

「咲子さんのこと好きなんですか?」

「不倫されていたなら罪悪感もないし、身近にちょうどいい人がいる」

これは、あずさと充の関係を確かめるための質問ではありません。

直人は、咲子へ近づく樹生を恋敵としてけん制していました。

さらに直人は、充について「羨ましいと憎たらしい」と口にしています。

充は咲子という妻に愛されながら、あずさとも親しくしていたように見えます。一方の直人は、咲子への思いを抱えたまま、そばで見ていることしかできませんでした。

直人の怒りは樹生だけに向いているのではありません。

咲子を妻にしながら別の女性とも親しくしていた充への嫉妬と、自分では咲子に選ばれなかった悔しさが混ざっています。

直人が好戦的になったのは、真相を知っているからではなく、咲子を奪われる恐怖が表に出たからです。

ただし、「どちらの瀬尾さんから聞いたと思います?」という返しには、直人がまだ何かを隠しているような不気味さも残っています。

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古書店の店主は何を知っている?

あずさが働いていた古書店を訪れた樹生と咲子に、店主は三島由紀夫の小説『愛の渇き』を渡しました。

店主は、あずさと充が事故の日になぜ同じバスに乗っていたのかを尋ねられても、「知らないことは、知っていても言わない」「死んでもプライバシーは守られるべき」と答えています。

これは、何も知らない人の言葉ではありません。

店主はあずさの秘密を知っているが、事実を暴露する代わりに『愛の渇き』を樹生へ渡し、あずさが抱えていた感情だけを伝えようとしたと考えられます。

三島由紀夫『愛の渇き』はどんな不倫小説?

『愛の渇き』の主人公・悦子は、夫の度重なる不倫に苦しめられた末に夫を亡くし、その後、亡夫の父親と肉体関係を持ちながら、若い庭師・三郎へ強く惹かれていきます。

しかし、三郎には恋人がいました。満たされない愛情と激しい嫉妬に支配された悦子は、やがて破滅的な結末へ突き進みます。新潮社も同作を、嫉妬と歪んだ幸福が荒々しい結末を招く物語として紹介しています。

つまり、『愛の渇き』は単純な不倫小説ではありません。

夫婦の中で愛されず、満たされなかった女性が、別の相手に愛を求めても渇きを埋められない物語です。

あずさは店主に、樹生について「夫に言えないことはない。でも、聞かれないから言っていないことはある」と話していました。

樹生は妻の言葉を「ね」で受け流し、妊娠や出産の時期まで自分にとって“ちょうどいい形”に整えようとしていました。

そんなあずさが『愛の渇き』を不倫の本だと聞き、笑顔で読み始めたのは、単に不倫へ興味を持ったからではありません。

悦子の満たされない孤独に、自分自身を重ねたからです。

店主が樹生へこの本を渡したのは、「あずさは不倫していた」と伝えるためではなく、「あなたは妻が抱えていた渇きに気づいていたのか」と問い返すためだったのでしょう。

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あずさと充は本当に不倫していた?

第2話までに判明したのは、あずさと充が毎月「第3金曜日」にコインランドリーで会い、事故当日には同じ高速バスに乗っていたことです。

事故の約半年前となる12月にも、充は直人からの誘いを「金曜日は先約がある」と断っていました。

さらに、充は咲子には話せない愚痴をあずさに打ち明け、あずさも樹生には見せなかった本音を充に話していたと考えられます。

家族に黙って半年以上も会い続けていた以上、2人が互いを特別な存在としていたことは間違いありません。

しかし、樹生が実際に確認したのは、2人がコインランドリーで親しげに話していた姿だけです。ホテルへ向かったところも、どちらかの家へ入ったところも目撃していません。

第2話時点では、あずさと充に肉体関係があったと断定できる証拠は出ていません。

2人は夫婦には言えない悩みを共有するうちに、心の支えとなっていた可能性があります。

肉体関係がなくても、配偶者に隠して毎月会っていたなら、「心の不倫」と受け取られても不思議ではありません。

ただし、2人が会っていた理由には、もう一つ別の可能性があります。

充にも親がいない背景があり、あずさは施設で育ったことが明かされています。

2人が同じ施設で過ごしていた、あるいは子どもの頃に似た境遇の中で知り合っていたなら、第3金曜日に会っていたことにも別の意味が出てきます。

第3金曜日は密会日ではなく、子どもの頃から続く約束の日だったのかもしれません。

事故の日に同じバスへ乗っていたのも、恋人同士の旅行ではなく、2人の過去に関係する場所や人物を訪ねるためだった可能性があります。

あずさと充が本当に不倫していたのかは、まだ分かりません。

しかし確かなのは、2人がそれぞれの配偶者には明かしていない関係を持ち、互いにしか話せない何かを共有していたことです。

不倫だったのか、それとも幼少期から続く特別なつながりだったのか。第3金曜日と事故当日の行き先が、2人の本当の関係を解く鍵になります。

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『Tシャツが乾くまで』第3話予告|充の足取りから新事実が判明

第3話では、咲子と樹生が行方不明となった充の足取りをさらに追います。

咲子は「妻です、責任あります」「探さないと、ちゃんと納得したいんです」と語り、充が過去に訪れた場所や、スマートフォンに残された情報を調べ始めます。

予告では、充がプロポーズした相手と訪れた場所の存在も示されました。これが咲子との思い出なのか、それとも咲子の知らない女性との過去なのかは、まだ分かりません。

さらに、周囲の人物から「奥さんの口癖は『夫に言えない話聞いて』でした」という証言が飛び出します。

この「奥さん」があずさを指しているなら、あずさは以前から、樹生には話せない悩みを誰かに聞いてもらっていたことになります。その相手が充だった可能性は、さらに高まりました。

一方で、咲子は「それでも充を信じています」と言い切ります。

しかし予告の最後では、「充はもう帰ってこない」という不穏な言葉が流れました。

第3話では、あずさと充の関係だけでなく、充がなぜ事故後に姿を消したのかという失踪そのものの謎が動き始めます。

充は事故に巻き込まれて帰れないのか。それとも、自ら帰らない道を選んだのか。スマートフォンに残された情報と、2人が毎月会っていた理由が重要な鍵になりそうです。

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まとめ

『Tシャツが乾くまで』第2話で見えてきたのは、樹生が不倫の証拠を追っているのではなく、亡くなったあずさを嫌いになる理由を探していることでした。

樹生は以前から、あずさが自分との結婚生活で満たされていないことを感じていたのです。

だからこそ、あずさと充が第3金曜日に会う姿を見た瞬間、「自分では妻を満たせなかった」という痛みを不倫へ結びつけたのでしょう。

一方の咲子も、樹生のタバコやシャンプーの匂い、背丈に充を重ね、胸元へ頭を寄せました。

咲子と樹生は惹かれ合い始めたというより、失った夫と妻の代わりをお互いに求め始めています。

あずさと充が本当に不倫していたのかは、まだ分かりません。しかし、4人の関係はすでに事故前から壊れ始めていました。

そして、咲子と樹生が初めて強く寄り添った瞬間に鳴った長野県警からの電話。充の行方に新たな動きがあれば、2人の関係も再び大きく揺れることになります。

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